令和元年度定例議会一般質問答弁(抜粋)

令和元年度の一般質問は、6月、9月、11月、2月の4回に分けて、 区議会議長、副議長を除く32名の文京区議会議員が本会議場に於いて質問をいたしました。 その質問に対する役所側の答弁のうち、重要な部分を項目ごとにまとめたものを作成いたしました。 区政方針の方向性がおおよそ分かる資料となりましたので、ここに掲載させていただきます。

令和元年度定例議会一般質問答弁(抜粋)

令和2年8月30日作成
自民党・無所属会派
文京区議会議員 浅川 のぼる


目   次

【区政運営について】

    1.区政運営の統括について

    2.次期行政計画策定について

    3.予算編成について

    4.SDGsについて

    5.Society5.0について

【子育て支援について】

    1.子育て支援計画について

    2.保育園の運営について

    3.児童相談所について

    4.子どもの人権問題について

    5.ひきこもり支援について

    6.子ども宅食、液体ミルクについて

【教育支援について】

    1.ふれあい教室、不登校等について

    2.教育環境と教科について

    3.給食の無償化について

    4.児童・生徒の支援について

    5.学校整備の支援について

    6.移動教室について

    7.プログラミング教育について

    8.EdTechについて

    9.ESD(持続可能な開発のための教育)について

    10.インターネットリテラシー教育について

【高齢者支援について】

    1.文京区版地域包括ケアシステムについて

    2.高齢者の住宅確保について

    3.国公有地の有効活用について

    4.熱中症予防について

    5.フレイル予防について

    6.認知症予防について

    7.補聴器補助について

【保険等について】

    1.国民健康保険制度について

    2.介護保険制度について

    3.後期高齢者保険制度について

    4.認知症の保険について

    5.人材確保と定着について

【防災について】

    1.減災について

    2.被災後の生活再建について

    3.災害情報について

    4.災害時の避難行動について

    5.地域防災力の強化について

    6.要支援者等への支援体制について

    7.災害時の避難所について

    8.避難所の備蓄品等について

    9.無電柱化について

【安全・安心まちづくりについて】

    1.再開発事業とまちづくりについて

    2.建築紛争について

    3.旧元町小学校及び元町公園の整備について

    4.コミュニティバスB-ぐるについて

    5.公園再整備と防犯カメラについて

    6.自転車通行帯対策と駐輪場の整備について

    7.小石川図書館について

    8.町会・自治会の活性化について

    9.中小企業・商店会の活性化について

    10.危険なブロック塀、擁壁の安全対策について

【オリンピック・パラリンピックについて】

    1.競技大会の位置付けについて

    2.平和の祭典について

    3.聖火リレーについて

    4.熱中症について

    5.機運醸成の事業等について

    6.市民マラソンについて

【外国人との交流等について】

    1.外国人観光客との交流について

    2.外国人の日本語指導について

    3.外国籍児童の就学状況と国際学級について

    4.在留外国人支援と多様性の尊重について

【その他】

    1.ジェンダー平等の実現と女性の貧困問題について

    2.ビッグデータの活用について

    3.指定管理者制度について

    4.自転車の保険について

    5.都市計画道路環状三号線について

    6.道路整備について

    7.地下調節池について

    8.プラスチック廃棄物について

【区政運営について】

1.区政運営の統括について

区長:これまで基本構想に掲げる将来都市像の実現に向け、3期にわたる基本構想実施計画の725事業に取り組み、基本構想を貫く理念である「協働・協治」を推進し、地域活動の自立性や地域の自治力の向上を図り、区民やNPO等と互いの責任と役割を果たしながら、地域課題の解決にも取り組んでまいりました。基本構想実現度評価では、各分野の指標がおおむね順調に達成してきております。基本構想の成果等については以下のとおりです。


 子育て・教育分野においては、保育所待機児童の解消や子どもの貧困対策、教育環境の整備等に力を入れてまいりました。

 福祉・健康分野においては、文京すまいるプロジェクトを始めとする文京区版地域包括ケアシステムを推進してまいりました。

 コミュニティ・産業・文化の分野においては、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた様々な取組を推進したほか、全国自治体との交流を深めてまいりました。

 まちづくり・環境の分野においては、建築物の耐震改修の促進を始め、災害に強いまちづくりに向けた取組等を推進してまいりました。

 行財政運営の分野においては、多様な主体との協働の推進等を進めてまいりました。


 このように、基本構想に掲げる将来都市像の実現に向けて、着実な歩みを進めてきたものと認識しております。しかしながら、依然として、保育所待機児童の解消、地域包括ケアシステムの一層の推進、地域コミュニティの活性化、大規模災害への備えなど、区が抱える課題は山積しております。今後とも、既存の分野や組織の領域を超えた柔軟な発想により、各施策を推進し、持続可能で豊かな地域社会を構築してまいります。

2.次期行政計画策定について

区長:変化が激しく、先を見通すことが難しい社会状況においても、行政需要の変化を的確に捉えた区政運営を進めていくために、区が直面する重要性・緊急性の高い優先課題を明らかにした重点化計画としてまいります。また、国連が定めたSDGsの考え方や、国が提唱するSociety5.0の技術革新を活用しながら、一体的な計画体系に再構築してまいります。さらに、優先課題を明らかにし、課題とその解決手段を設定する際には、基本構想実現度評価や、これまでの区政運営の総括を踏まえるほか、現状や問題の整理、さらには、それらについて可能な限りデータで示すことで、課題の捉え方の妥当性を説明する必要がある(EBPM)と考えております。


 次に、都市環境の保全の推進について、都市マスタープランは、まちの将来像や土地利用・都市施設等の整備方針を定めたまちのガイドラインであり、その実現策として、用途地域や高さの制限、各種条例や指導要綱等を定め、個別の建築計画についての規制・誘導を行っております。これらのほか、バリアフリー化の推進、コミュニティバスの新規路線の開設、区道の無電柱化の推進、特色ある公園等の整備や、その他様々な環境政策を展開しながら、都市環境の保全を推進してまいります。なお、都市マスタープランの改定について、これまでも区民委員等を含む改定検討協議会を設置し、改定案を検討したうえで、都市計画審議会による議を経て、議会へ報告してまいりましたので、議決事項とする考えはございません。

3.予算編成について

区長:令和2年 2月補正予算では、各事業の執行状況等に応じた減額補正を行い、274事業で約58億円の減額を見込むとともに、一般財源等の増収を見込み、基金の取崩し抑制を行うなど、財源の有効活用を図ったところです。なお、直近3か年の2月補正における減額補正の総額は、約200億円となります。基金への積み立て等を行った要因としては、歳出予算の執行残のほか、特別区税や特別区財政調整交付金等の一般財源が増収となったことから、予算現額との間に乖離が生じたことによるものです。また、保育所の待機児童対策台風被害に伴う住宅補修に要する経費の補助等、区民の暮らしや安全を守る緊急性の高い事業等については、適切に予算化いたしました。


 令和2年度当初予算においては、歳入不足額を補填するため、過去最大規模となる56億6,000万円を、財政調整基金繰入金として計上するほか、大規模な施設整備等に対応するために、特定目的基金繰入金として95億5,617万円を見込んでおります。これらにより、区民ニーズに的確に対応するための喫緊の区政課題や優先度の高い施策について、重点施策を中心に、積極的に予算化いたしました。

4.SDGsについて

区長:国のSDGs実施指針では、特に注力すべき優先課題として、健康・長寿の達成地域活性化循環型社会など、8つの項目が掲げられております。これらの項目については、本区においても、区民福祉の向上を目的として、多くの施策を実施してまいりました。また、区民やNPO等との協働による施策については、新たな公共プロジェクトや子ども宅食プロジェクトなど、様々な分野で実施しております。


 今後も、SDGsのゴールが相互に関連していることを踏まえ、現在策定を進めている、(仮称)文の京総合戦略においては、各施策を推進するための基本となる考え方にSDGsの視点を当てはめることで、持続可能で豊かな地域社会の構築に向け、区民、NPO、事業者等の様々な担い手との連携を図りながら施策を推進してまいります。その際は、SDGs未来都市等に選定された自治体の取組も参考にしながら、様々な行政課題の解決に取り組んでまいります。また、次代を担う子どもたちに対しては、学校教育を通じて、一人一人が地域の将来などを自らの課題として捉えるとともに、課題解決に向けて、自分たちができることを考え、多様な人々との関わりの中で、実践できる力を育むことが必要と考えております。

5.Society5.0について

区長:先進的技術を活用した今後の取組について、昨年度、6業務で行ったRPAの実証実験により、職員の判断を要さない、定型的かつ大量の処理がある業務では、事務の効率化に効果があるという検証結果が得られました。このことを踏まえ、現在、電子申請のデータ処理や庶務事務システムの入力自動化など、13業務で導入を進めており、今後、更に対象となる業務を拡充してまいります。また、本年度、AIが自動応答するごみ分別案内サービスを開始いたしました。今後、申請書記入等を電子化するAI‐OCR会議議事録を作成するAIなどの導入を検討しております。引き続き、ICT技術革新に注視し、区民サービスの向上及び職員の働き方改革と業務改革の視点から、RPAやAI等の導入を積極的に進めてまいります。


 次に、キャッシュレス決済の検討状況について、戸籍や住民票、税などに関する証明書の発行手数料については、来庁者から、電子マネー等によるキャッシュレス決済を求める声を頂いているところです。また、区では、文京区商店街連合会と連携し、セミナー等を通じ、区内商店街におけるキャッシュレス決済の普及促進に努めております。このようなキャッシュレス化の動向を踏まえ、今後、区民の利便性向上業務効率化の観点から、費用対効果等も含め、総合的に判断し、導入に向けて検討を進めてまいります。


 次に、情報発信の在り方について、区の施策区民生活観光等に関する情報を効果的に発信していくことは、重要な課題であると認識しております。CATVの文京区民チャンネルについては、区報やホームページと連携・補完し合いながら、区政情報や地域コミュニティに関する情報を提供するとともに、災害発生時に区民向けの災害情報を発信する機能も有しております。その一方で、区民の認知度視聴者数等の面で課題があることも認識しておりますので、文京区民チャンネルのPRを促進するほか、意識調査等による区民等の意見も踏まえ、CATVによる情報発信の在り方について、検討を進めてまいります。


 また、近年では、スマートフォン等の情報機器や、SNS、アプリケーション等の普及・発展が著しいことから、これらを更に活用して、より多くの区民や本区を訪れる方々のニーズに応じた、利便性の高い情報発信を行っていく必要があると考えております。今後とも、多様化する区民ニーズや、新技術の開発等による社会の変化を見極めながら、効果的な情報発信の手法や体制について、検討してまいります。

【子育て支援について】

1.子育て支援計画について

区長:現行計画の評価について、平成25年度の子育て支援に関するニーズ調査の結果や年少人口推計等を基礎データを基に、主要項目とその方向性を示し、体系的に事業を整理し策定しました。期間中は想定を超える年少人口の増加、合計特殊出生率の改善及び保育ニーズの大きな変化に伴い、適宜必要な改定を行いました。その結果、昨年度の調査で子育て環境や支援に対する満足度はおおむね良好で、計画事業を着実に実施した成果と考えております。


 次に、次期計画の特徴については、児童相談所の設置を見据えた総合相談体制の整備や、子ども貧困対策等の取り組みを盛り込み、現行計画期間中に策定された地域福祉保健と各分野別計画、さらに、次期行政計画の新たな要素を取り入れ整合を図ってまいります。

2.保育園の運営について

区長国の責任において、幼児教育・保育の無償化に必要な全ての財源を確保するよう、区長会において要望してまいります。また、給食費については、無償化に伴い、保育料に含まれる副食費が利用者の負担増にならないよう、区が負担することも含め、適切に対応してまいります。さらに、区立保育園の民営化と給食の調理業務委託について、柳町こどもの森を含む区立保育園18園は、引き続き公設公営で運営してまいります。


 次に、区立保育園の卒園式について、区立保育園では、3月上旬の土曜日に、お祝い会と卒園式を同日開催しておりますが、来年度から、お祝い会は「発表会」として12月の土曜日に変更し、卒園式は3月下旬の平日に開催することといたしました。なお、夜間・休日保育等について、子どもの育ちの観点から、夜間・休日保育の実施や、更なる保育時間の延長は考えておりません。


 次に、保育所の待機児童対策や保育の質における、保育所待機児童の今後の見通し及びその対策について、本年度期中及び来年度当初において、認可保育所15施設小規模保育事業2施設事業所内保育事業1施設家庭的保育事業1施設の開設と、認可保育所3施設の定員拡充により、合計1,049人の定員を確保できる見込みです。昨年度の定員増947人と合わせると、拡充する定員の合計は1,996人となり、子ども・子育て支援事業計画における整備計画を超えるものとなっております。今後も、私立認可保育所の開設を中心とした施設整備を進め、待機児童の解消を図ってまいります。


 次に、保育士の処遇改善について、本区では、宿舎借上げ制度について、国が定める対象者の範囲を拡大して補助を実施しているところです。また、賃金助成については、技能・経験に応じて人件費を加算する処遇改善等加算IIの導入や、保育士等キャリアアップ補助金の拡充等を行っております。なお、保育士の更なる処遇改善等については、全国市長会を通じて国に要望しております。


 次に、認可外保育施設の保育の質の向上について、無償化に伴い、対象となる施設への指導監督の必要性が高くなると認識しており、今後、認可外保育施設を含め、保育内容等の確認を進めてまいります。また、専門職の配置等、指導監督体制の強化についても検討してまいります。


 次に、散歩時の安全確保については、他県において発生した痛ましい保育園児の交通事故を受け、庁内で連携し、園児の移動経路における安全の確保について検討し、今後は、警察署等と協力しながら、具体的な取り組みを進めてまいります。また、散歩に当たっては、各園で必要な人員を配置しているものと認識しておりますが、保育士をサポートする保育補助者雇入強化事業等の活用も進めております。


 なお、園庭については、本年4月時点で、区立保育園において、園庭のある保育所は18園、園庭のない保育所は1園であり、私立認可保育所では、園庭のある保育所は12園、園庭のない保育所は46園となっております。都市化が進んだ本区では、園庭整備が可能な物件を見付けることが困難な状況にありますが、新設する保育所においても、可能な限り園庭を確保できるよう、計画段階から運営事業者と協議を行っており、今後も事業者に働き掛けてまいります。

3.児童相談所について

区長:児童相談所開設に向けた課題について、年々件数が増加し、内容が複雑かつ深刻化する相談に対応する職員の確保と、保護した子どもが一時保護所で安全に安心して過ごせる生活空間の形成が、課題であると捉えております。また、開設前から福祉職等の職員採用数を増やすとともに、新たに設けられる児童相談所経験者の採用枠を活用してまいります。あわせて、福祉等の現場経験の豊富な職員を子ども家庭センターへ配置することで、開設に必要な職員を確保してまいります。


 また、児童相談所の運営については、新たに児童養護施設家庭裁判所などが関係機関として加わるほか、民生委員・児童委員警察などとの連携の内容も広がることとなります。そのため、開設後の関係機関との円滑な連携に向けて、児童福祉司保健師などの専門職員を計画的に配置するとともに、既存の要保護児童対策地域協議会等の活用を含め、新たな連携体制の構築に向けた検討を進めてまいります。なお、児童相談所の財源確保については、特別区における児童相談所移管に伴う財源に関して、現在、都区財政調整協議の中で協議を行っているところです。

4.子どもの人権問題について

区長:子どもの人権侵害が大きな社会問題となる中、教育施設等、本区の地域資源を活用し、子どもと家庭を支援する関連機関のネットワークを構築することで、児童虐待の未然防止と迅速な対応に努めるなど、すべての子どもの健やかな成長につなげてまいります。SDGsの施策において、子どもに対する暴力の撤廃への取組について、現在、子ども家庭支援センターでは、子育てに悩む保護者の方を対象に、育児スキルトレーニング講座や子育て講座を開催するなど、児童虐待の予防に向けた取組を行っております。さらに、児童虐待の重篤化や虐待の連鎖の防止を図るため、親子関係調整プログラム等の専門プログラムの実施を予定しており、心理職を増員するなどして準備を進めているところです。

5.ひきこもり支援について

区長:ひきこもりに関する支援の方策について、本年4月より、文京区版ひきこもり総合対策として、現在の義務教育修了後から39歳までのひきこもり等自立支援事業の対象年齢を全世代へ拡大するとともに、(仮称)文京区ひきこもり支援センターを、福祉部に設置することにより、相談窓口の明確化情報の一元化を図り、総合的かつ包括的な関係機関との連携による相談支援体制を構築してまいります。具体的には、社会福祉協議会高齢者あんしん相談センター民間のひきこもり支援機関等と連携したネットワークを構築し、多職種・多機関による情報共有ケースカンファレンスを実施するほか、精神保健福祉士を配置し、アウトリーチを想定した相談支援を進めてまいります。


 次に、障害児の放課後の居場所について, 育成室を利用していた障害のある児童のうち、育成室卒室後も障害福祉サービスの利用を希望する方については、療育サービスとしての放課後等デイサービス日中短期入所移動支援等の見守り事業を組み合わせるなど、その児童一人一人に寄り添った対応をしているところです。

6.子ども宅食、液体ミルクについて

区長:子ども宅食コンソーシアムでは定期的に利用者アンケートを実施し、生活の困り事や利用世帯のニーズを把握しており、6割程度がひとり親家庭で経済困窮度は高いが、利用者からは安心感や充足感が得られていると前向きな声が多く、貧困を層としてくくるのではなく、多様な家庭、課題に応じた個別的な対応が必要であると捉えています。引き続き利用世帯の特性やニーズに寄り添い、適切な支援につながる情報提供を行い、新たな取り組みとして、給食のない夏休み期間の配送を追加し、年7回の配送を計画しております。


 また、液体ミルクについて、WHOコードを踏まえた事業展開について、区としては、母乳育児が第一との考えに基づき、液体ミルクは、災害時に母乳育児ができない場合の母乳代用品の選択肢の一つと位置付けております。また、液体ミルク普及の取組について、液体ミルクの使用方法等、正しい知識の普及は、災害時のために必要であると考えております。さらに、母乳代用品である液体ミルクは、調乳の必要がないことから、災害時だけではなく、育児負担の軽減父親の育児参加促進にも有効であると認識しております。なお、液体ミルクの備蓄と活用について、防災備蓄品として本年度中に導入を予定している液体ミルクについては、内閣府及び厚生労働省の事務連絡等を参考に、保育所での活用等を含めて検討してまいります。

【教育支援について】

1.ふれあい教室、不登校等について

教育長:ふれあい教室の民間委託について、ふれあい教室では、校長経験者など、都の非常勤教員だけでなく、心理カウンセラー、スクールカウンセラー、大学生、大学院生、スクールソーシャルワーカー等、様々な職種がチームで子どもたちを支援しております。


 また、民間フリースクールとの連携も継続しており、民間の持つ様々なノウハウを取り入れております。多職種チームと民間との連携を深めることで、一人一人の子どもの情緒の安定や集団生活への適応へとつなげ、ふれあい教室がより居心地の良い居場所となるよう、努めてまいります。


 次に、不登校対策として目指すところについて、不登校対策では、不登校の未然防止学校復帰,教育機会の確保等を目指しておりますが、不登校の背景や状況は様々であり、学校に登校するという結果のみを目標としてはおりません。今後も、一人一人の状況に合わせ、必要な支援を行えるよう、学校、民間団体等との連携の下、不登校対策に取り組んでまいります。


 次に、不登校児童・生徒の学習環境の保障等について、不登校児童・生徒の学習環境を保障するため、ふれあい教室において個に応じた学習支援を行っているほか、家庭と子どもの支援員による別室登校時における学習活動スクールソーシャルワーカーによる家庭訪問時におけるeラーニングの活用等を通じて、一人一人の状況に応じた支援を行っております。


 次に、特別支援学級通級時の補助について、タクシーの利用料につきましては、文部科学省から示されている特別支援教育就学奨励費負担金等に係る事務処理資料において、他の公共交通機関がない交通不便地域においてのみ、補助することとされております。そのため、児童・生徒が公共交通機関を利用し、難聴・言語障害の通級制特別支援学級へ通学した場合の交通費を補助しております。

2.教育環境と教科について

区長:小学校の教室増設対策について、近年、本区の年少人口は増加を続けており、将来人口推計においても、当面は増加傾向が続くものと推計しております。このような人口の動向や、各学校における多様な教育活動も考慮しながら、教育委員会において、今後の小学校の教室増設について適切に対応し、子どもたちが快適な学校生活を送ることができる教育環境を整備することが必要であると認識しております。


 次に、英語の教科化への対応について、令和2年度より、小学校において英語が教科化されることを踏まえ、平成30年度より2年間掛けて、外国人英語指導員(ALT)の配置時間数を拡大するなど、円滑な導入に向け、準備を進めてまいりました。また、英語の授業に対する教員の不安を軽減し、指導力の向上を図るため、各学校では研修を実施してまいりました。加えて、本年度より、英語専科の教員を2校に配置しております。今後は、GTECジュニア等を活用し、児童の英語力を把握するとともに、授業改善につなげてまいります。また、幼児期における英語教育について、区立の保育園及び幼稚園では、絵本や外国籍の方々との交流を通して、生活の中で多様な文化に触れる機会を設けております。今後も、子どもたちが遊びを通して多様な文化に触れる機会の充実に努めてまいります。


 次に、プレゼンテーション能力向上プログラムの効果について、子どもたちは、内容を検討する過程で、自分の考えを深め、的確に発表することができるようになり、思考力・判断力・表現力等を養うことができたものと考えております。これからの社会では、他者と協働しながら創造的に生きていくための資質・能力がますます求められます。また、非認知的能力は、一般的に数値化することができない能力と言われており、学びに向かう力や姿勢と捉えることができます。幼児期に、探究心や思考力、表現力等に加えて、感情や行動のコントロール粘り強さ等の非認知的能力を育むことで、その後の学びに良い効果がもたらされると考えております。さらに、教師がAIを活用することで、子どもたちの学習や生活などの履歴情報を分析し、一人一人の子どもに合った教材を提示することが可能となり、授業における学習内容の理解が促進され、個々の子どもの特性や能力に応じた最適な指導を行い、質の高い教育へとつなげるとともに、AIで担えない分野における指導力を高めていくことが重要と考えております。

3.給食の無償化について

教育長:学校給食費の無償化について、本区では、学校給食法に基づき、給食に係る食材費等は保護者の負担としておりますが、要保護・準要保護世帯ひとり親家庭特別支援学級の児童・生徒の保護者については、給食費を無償としており、経済的な負担の軽減は図られているものと認識しております。また、就学援助等により、保護者の経済的負担を軽減するほか、給食指導等を通した食育の推進や、学校と連携した未納者対応等に努めてまいります。さらに、今回の子どもの貧困対策法改正の趣旨を踏まえ、子どもの貧困に係る施策を総合的に実施してまいります。

4.児童・生徒の支援について

教育長:民間学童保育施設の充実等について、児童の増加により、育成室の利用を希望する児童も増え、求められるサービスが多様化していることから、民間学童クラブの一つである都型学童クラブの誘致等も併せて行っております。あわせて本区では、地区館長巡回指導員による定期訪問を実施し、指導監督を行っております。加えて、児童への指導や家庭との連携、安全管理などに関する定期評価を、地区館長が実施しているところです。また、放課後全児童向け事業の更なる充実について、これまで、地域の方々の協力を得て、全区立小学校において「放課後全児童向け事業」を実施し、安全・安心に放課後を過ごすことができる環境の整備を進めてまいりました。今後は、開室日数の拡大や、実施時間の延長等、事業の充実を図ってまいります。


 また、スクールカウンセラースクールソーシャルワーカーを配置し、児童・生徒が抱える課題の解決を図り、安心して学校生活を送れる環境を整えているほか、顧問弁護士と契約を結び、学校問題の解決につながる助言を頂いております。なお、学校における働き方改革として、部活動指導員や事務補助者を拡充するほか、留守番電話サービスや学校閉庁日等を導入し、教員の負担軽減を図っております。また、特別支援教育の充実について、昨年11月より文京区特別支援教育振興委員会において、課題を協議してまいりました。その結果、来年4月、第八中学校に、知的固定制特別支援学級を新設することとなりました。今後は、「自閉症・情緒障害特別支援学級の現状と今後の対応」や「特別支援教室導入後の状況」について、協議を行ってまいります。

5.学校整備の支援について

教育長:社会の変化に対応した学校改築について、現在、改築工事を進めている小学校の新校舎では、通学区域内の児童数の推計や、求められる指導内容等に基づき設計を行っており、地域開放にも配慮した施設の配置となっております。今後、新たな改築計画に着手する際には、その時々の教育を取り巻く環境や社会情勢に適合させつつ、将来の変化等にも対応できるよう工夫してまいります。また、特別教室及び職員室の改修について、より快適な教育環境を確保するため、特別教室の改修が必要なことは認識しているところです。そのため、普通教室の改修が終了した後、令和2年度には、改修の対象となる特別教室の基礎調査を行ってまいります。当該調査の結果を踏まえ、改修内容や改修時期等について学校等と協議の上、工事中の学校運営に配慮しながら、計画的に工事を実施してまいります。さらに、児童の学習環境を優先しつつ、施設の状況や緊急度等を考慮した上で、職員室の改修についても、順次検討してまいります。なお、小学校における教室の確保等について、年少人口の動態や児童数を注視しながら、必要となる学級数の推計を行い、その結果を基に、教室対策の検討を行ってまいりました。今後も、学校施設の状況を勘案の上、財源措置を含め適切に対応してまいります。

6.移動教室について

教育長岩井臨海学校につきましては、自由参加の教育課程外の事業として、小学校長会が主体となり、実施してきました。今後は、宿泊施設の不足等により、現在の形で継続することが難しいことから、岩井臨海学校については、令和元年度をもって廃止することといたしました。一方、八ケ岳や魚沼で実施している移動教室は、全員参加を前提とした、教育課程内の自然体験事業として実施しておりましたが、令和2年度からは、教育課程外の自然体験事業として、夏季休業期間中、児童が自由にプログラムを選択し、主体的に参加できるようにいたします。自ら選んだプログラムに参加することで、学習への興味・関心が高まり、より主体的な体験学習につながるものと考えております。また、連携自治体の協力により実施を予定している夏季自然体験教室については、現在、参加費等の詳細について、受入れ自治体と協議中ですが、保護者の負担を考慮し、一定の公費負担について検討してまいります。なお、生活保護や就学援助受給世帯の参加費については、これまでの岩井臨海学校と同様に、全額補助ができるよう調整してまいります。


 次に、魚沼移動教室については、これまでの実施状況や学校現場の意見等も踏まえ、自然体験に加え、歴史・文化体験を充実させたプログラムへと見直しを行ってまいります。


 また八ケ岳高原学園につきましては、浴室等の改築や設備の更新、バリアフリー対応等、改修工事を予定しておりますが、工事期間中においてもこれまでと同様のプログラムが実施できるよう、代替宿泊施設の確保を含め、現在、準備を進めているところです。また、林間学校や臨海学校の意義等について、集団宿泊的行事は、自然との関わりや人との触れ合いを通して、集団への帰属意識連帯感を深め、多様な他者と尊重し合いながら、より良い学校生活を築く態度を育む上で、大切なものと認識しております。これらのことを踏まえ、小・中学校の校外学習全体の在り方について、検討してまいります。

7.プログラミング教育について

教育長:学校教育における最先端技術の活用を通して、Society5.0では、情報を読み解き対話する力、科学的に思考し活用する力、価値を見出す力、並びに探求する力が求められてくるものと認識しております。また、学校教育においては、こうした力を育むために、ICT活用の充実を図るとともに、大学や研究機関、NPO等、多様な人材を活用した学習プログラムや学習支援を行うシステムを構築することが、求められているものと捉えております。Society5.0に向けて国より発表された「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」は、今後のICT教育の新たな方向性を示すものとして注目しているところです。その中で示されている「パブリッククラウドの活用」等、幾つかのモデル例は、効果的な学びの支援やICT環境整備に係る費用の低減等に資するものと認識しており、今後の国等の動向を注視しながら研究を進めてまいります。


 次に、プログラミング教育開始に伴う環境整備について、情報活用能力やプログラミング的思考を育成するため、教育情報ネットワーク環境を整備するとともに、教育内容の質的向上に向け、様々な事業を実施しているところです。具体的には、電子黒板導入のほか、児童・生徒用タブレット端末を順次整備し、全小・中学校において、3人に1台以上の配備を完了したところです。また、湯島小学校及び駒本小学校では、プログラミング教育推進校として都の指定を受け、調査研究に取り組んでおります。ICT技術の進展に伴い、今後も様々な機器やシステムの開発が予想されますが、学習への興味・関心や、思考力・判断力・表現力の育成につながるよう、計画的に環境整備を行ってまいります。

8.EdTechについて

教育長:EdTechの活用について、ICT環境を整備することにより、全国学力・学習状況調査の結果を始め、様々なデータを収集・蓄積・統合し、教員の指導の改善に生かすとともに、児童・生徒が自らの学びを振り返ることができるようにすることは、学びの質を高める一つの手段であると認識しております。教育委員会といたしましては、引き続き、ICT環境を整備するとともに、EdTechも視野に入れ、データの活用を進めてまいります。


 また、大学との連携について、Society5.0においては、学校と大学や企業などとの産学官連携がますます求められてきます。そのため、東京大学を含め、本区の教育資源との協働の下、外部人材の活用を図り、これからの社会を牽引する人材を、文の京から広く輩出できるよう取り組んでまいります。

9.ESD(持続可能な開発のための教育)について

教育長:本区のESD(持続可能な開発のための教育)における体験学習について、ESDは、新学習指導要領の基盤理念となっており、その前文及び総則で、持続可能な社会の創り手の育成が掲げられています。また、各教科等においても、関連する内容が示されており、総合的な学習の時間のほか、社会科や理科等の学習において、国際理解環境をテーマに体験的な学習を展開し、教育効果を上げてまいりました。今後も、各学校が、教科横断的な視点からカリキュラムを編成し、体験学習を取り入れ、充実した教育活動を実践できるよう、支援してまいります。

10.インターネットリテラシー教育について

教育長:各小・中学校では、情報活用能力の育成と併せ、情報モラル教育を進めております。これらの情報教育では、教科横断的な視点から教育課程の編成を行い、学習の基盤となる資質・能力を育成してまいります。また、各家庭におけるSNSの使用ルールであるSNS家庭ルールの作成に向け、啓発を行い、子どもたちの情報モラルを高めてまいります。

【高齢者支援について】

1.文京区版地域包括ケアシステムについて

区長:2025問題・8050問題・ダブルケア問題等について、多世代にまたがる複合化、重層化した課題解決のためにも、文京区版地域包括ケアシステムの構築が必要で、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、区の公的なサービスの充実や地域での住民同士の支え合いの強化が重要と考えております。そこで、社会福祉協議会と連携して、地域の多機能な居場所づくりを支援し、関係機関と連携した包括的な相談支援体制を構築するとともに、在宅療養の相談や民生委員の相談活動、みまもり相談事業などを通じ、高齢者が安心して暮らすことができる地域づくりに取り組んでおります。本区としては、社会福祉協議会と連携の上、地域の多機能な居場所づくりを支援し、関係機関と連携した包括的な相談支援体制を構築する「我が事・丸ごと」の地域づくり推進事業や、身寄りのない高齢者等に対し、定期連絡などの見守りから、人生締めくくりに向けた準備に至るまで、総合的に支援する「文京ユアストーリー」を実施してまいります。また、区内医師会、高齢者あんしん相談センターにおける在宅療養に関する相談や、民生委員による相談活動、社会福祉協議会による「みまもり訪問事業」等を通じ、高齢者が安心して暮らすことができる地域づくりに取り組んでいるところです。

2.高齢者の住宅確保について

区長:文京すまいるプロジェクトについては、高齢者などの住宅確保要配慮者も住まいの確保のため、住まいの協力店との連携を図り一定の成果を上げています。本事業におけるこれまでの高齢者の成約件数は36件で、年間の平均は約7件です。また、生活保護受給者で、本制度を利用して入居された方は4件となっております。しかしながら、すまいる住宅の登録件数が伸び悩んでいることが課題であり、住宅オーナーが抱える入居者の孤独死等への不安が要因の一つであることから、今後、見守りを強化するとともに、住居内で孤独死があった場合の原状回復費用等の一部補償を行うことで、不安の解消に努め、本事業の推進を図ってまいります。


 なお、すまいる住宅登録事業により、高齢者等の入居機会の確保を図るとともに、入居希望者が登録住宅以外に入居された場合でも、あっせん謝礼を支払うなど、高齢者の住宅確保に努めているところです。また、緊急通報装置の設置や高齢者あんしん相談センターと連携し、ライフサポートアドバイザーによる生活相談や入居者の孤独死へのオーナーの不安を解消する見守りの強化に努めてまいります。また、高齢者等に対する住宅支援として、高齢者等の住宅確保は、超高齢社会を迎えるに当たり、避けては通れない課題であると認識しており、来年度の次期地域福祉保健計画策定の中で、位置付けも含め、検討してまいります。


 さらに、災害に伴う住宅支援事業等について、令和元年台風第15号及び第19号住宅補修緊急支援事業における現時点での申請件数は1件であり、被害状況は、屋根の一部損壊となっております。本事業の活用を促すために、罹災証明書を交付された方々へ通知するとともに、区報やホームページ等により周知を図っているところです。なお、高齢者等住宅修築資金助成事業については、区民にとってより有効な制度となるよう、研究を進めてまいります。

3.国公有地の有効活用について

区長:小日向2丁目国有地の活用方法等について、国からは、本年3月末までに地下埋設物の撤去工事を終えた後、国有財産関東地方審議会への諮問の準備を進めると聞いており、その状況を確認しながら、特別養護老人ホームとその他の施設の整備について、具体的な検討を行ってまいります。なお、特別養護老人ホームは定員100人程度の規模を想定しております。施設整備に当たっては、地域住民等への丁寧な説明に努めてまいります。


 さらに、特別養護老人ホームの増設等について、特別養護老人ホームにつきましては、「高齢者・介護保険事業計画」に基づき、着実に整備を進めているところですが、が昨年12月に策定した「未来の東京」戦略ビジョンにおいて、新たな整備目標は来年度に検討するとしていることから、区でも、利用状況やニーズ等を勘案し、民有地等活用の可能性も含め、検討を進めてまいります。また、高齢者施設の整備に関する都の用地取得補助制度については、定期借地権に対する一時金の支援に変更となり、廃止されましたが、区長会を通じて制度の再開を要望していくとともに、公有地の賃料の減額等についても、国や都に対し、引き続き要望してまいります。


 なお、高齢者施設と保育園の複合施設について、区では、幾つかの高齢者在宅サービスセンター等において、近隣保育園及び幼稚園との交流を実施しており、高齢者と子どもたち双方にとって有意義な機会となった事例もあると聞いております。複合施設の設置については、新たな建物の整備の際に、広く行政需要を考慮し、検討してまいります。

4.熱中症予防について

区長:熱中症の取組状況について、区では、7月の熱中症予防強化月間に先立ち、区報やホームページ、区設掲示板等により、子どもから高齢者までの幅広い対象に向け、熱中症予防の啓発を行っております。また、熱中症にかかるリスクが高い高齢者と乳幼児については、高齢者あんしん相談センターによる予防講座や戸別訪問の実施、母子保健事業及び保育施設を通じたリーフレットの配付など、様々な機会を捉えて注意喚起に努めているところです。また、冷房器具設置等の支援について、生活福祉資金は、大きな負担とはならない範囲で貸付を受けており、その返済や冷房器具の電気料金については、支給された生活扶助費の中から負担することができるものと考えております。また、区独自で生活保護受給世帯以外を対象とした冷房器具設置費用等助成事業を行う考えはございませんが、引き続き、熱中症予防に関する啓発活動や注意喚起に取り組んでまいります。さらに、ぶんきょう涼み処について、区では、昨年度より、夏場の外出時における熱中症を予防するため、区内施設にぶんきょう涼み処を開設しております。各施設の状況に応じて涼めるスペースを設置しておりますが、今後も、利用者や各施設からの意見を参考に、良好な環境整備に努めてまいります。

5.フレイル予防について

区長:高齢者福祉におけるフレイル予防事業について、フレイル対策の3本柱である、栄養、運動、社会参加の大切さに気付いてもらい、自らの意識と行動の変容を促し、フレイル予防に取り組むことが、健康寿命の延伸を図る契機となるものと捉えております。また、「文の京フレイル予防プロジェクト」において、東京大学と連携を図り、サポーター養成講座を受けた区民が中心となり、区内各地域会場においてフレイルチェックを実施するとともに、社会福祉協議会と連携してサポーターの活動を支援し、健康寿命の延伸に取り組んでまいります。さらに、ICTを活用した情報共有に取り組むなど、今後も医療と介護の連携を一層推進してまいります。そして、定期的にサポーターを養成するとともに、住民主体の通いの場を始め、区内各地域においてフレイルチェックを実施することで、高齢者がいつでも気軽にチェックが受けられる環境を整備してまいります。また、保健師や理学療法士などの専門職による、フレイルチェック参加者への具体的な助言がなされることで、健康寿命の延伸につながると期待しております。なお、口腔機能に低下が見られる方が日頃からオーラルフレイル予防に主体的に取り組むとともに、ご自身の判断で、適切に歯科医師等を受診できるよう、その仕組みを検討してまいります。

6.認知症予防について

区長:総合的な認知症施策について、認知症の本人やその家族が、住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、認知症施策全般を高齢者・介護保険事業計画に掲げ、様々な事業を実施しております。認知症施策全般を要綱で総合的に規定しているほか、高齢者・介護保険事業計画に基づき、様々な事業を推進しております。認知症施策における、早期発見等について、認知症の症状が進行し、生活上の困り事が深刻化した後に問題が顕在化することから、早期の段階で適切な支援につながる仕組みの構築が必要と考えております。こうしたことを踏まえ、本年4月より、認知症の診断等を受けた本人やその家族に対し、訪問看護ステーションの看護師による伴走型の支援を実施してまいります。また、本年6月より、認知症の有無にかかわらず、脳の認知機能の測定や活性化のエクササイズ等を取り入れたフォローアッププログラムを実施し、健康習慣の見直しの機会を提供してまいります。


 また、平成27年度から、認知症サポーターキッズ養成講座を区立小・中学校で開催し、延べ13校832人の児童・生徒が認知症サポーターになっております。さらに、本年度は、区内国立・私立小・中学校にも講座開催の案内をしております。区はこれまで、12,400人を超えるサポーターを要請しており、幅広い世代に向け、認知症に関する知識の普及啓発に取り組んでまいります。

7.補聴器補助について

区長:補聴器購入費助成について、高齢期における聴力の低下は、良好なコミュニケーションの妨げとなり、認知症のリスクが高まることから、補聴器の利用は重要なことと認識しております。区では、来年度から、低所得の方を対象に、購入助成制度や都の包括補助の活用について検討を行い、高齢者の生活の質の向上に努めてまいります。また、医師の診断による意見書に基づき、補聴器購入費用の一部を助成してまいります。現在、対象者の聴力レベルや意見書内容等について、医師会と協議を行っているところです。今後とも、高齢者の生活の質の向上に向けて、補聴器の利用を推進してまいります。


 なお、相談窓口等において難聴に関する相談があった場合は、専門医への早期受診を促し、医学的な診断に基づいた必要な治療や補聴器の利用等、適切な対応につながるよう支援をしているところです。また、補聴器購入費助成事業については、現在、検討を行っているところですが、難聴の相談や医療費控除についても、様々な機会を捉え、周知を図ってまいります。

【保険等について】

1.国民健康保険制度について

区長:国民健康保険料における、納付金と保険料について、都から示された納付金額は、約69億円、区長会から示された特別区における基準保険料率は、基礎分と後期高齢者支援金分で所得割が9.43%均等割52,800円介護納付金分均等割15,600円となっております。なお、介護納付金の所得割は、各区において設定することとなっており、現在、算定中のため、決まり次第、お示ししてまいります。また、激変緩和措置について、広域化に伴う激変緩和措置は、広域化前の一人当たり納付金相当額と比較し、納付金伸び率が都平均を一定程度上回る区市町村を対象としており、特別区においては、本区を含む7区が対象となっております。区としましては、国が定める標準保険料率等を参考とした統一保険料方式を採用しており、引き続き、統一保険料率を適用してまいります。なお、法定外繰入を全て廃止した場合の保険料への影響額は、御指摘のケースでは、およそ2万円程度の増額になるものと捉えております。


 なお、激変緩和措置に必要な財源は、国費により賄われ、それに不足が生じた場合、による激変緩和措置が講じられますが、来年度においては、国費より全額賄うことができたため、都による激変緩和措置は講じられておりません。被保険者の保険料負担が急激に増えることのないよう、国費による激変緩和措置が講じられていることから、被保険者への影響はないものと捉えており、都に要望する考えはありません


 また、均等割等について、昨年度の当初賦課時点では、本区の18歳未満の国民健康保険被保険者数は2,875人で、均等割り賦課額の合計は約1億3千万円となっております。均等割の廃止による財源不足分等に対し、法定外繰入により保険料の引下げを行うことは、国民健康保険加入者以外の方との負担の公平性の観点からも、望ましくはなく、被保険者の保険料負担の状況を見極めながら、法定外繰入の将来的な解消を見据え、対応していくべきものと考えております。なお、均等割の減免措置は、国の責任において実施されるものと認識しており、区独自で実施する考えはございません。


 なお、国への公費負担増に関する要望について、これまでも、保険者への更なる財政支援と被保険者の保険料負担軽減策の拡充等について、全国市長会や区長会を通じ、国に要望してきたところであり、今後も、多子世帯などの子育て世帯の経済的負担軽減のため、制度の見直しについては、引き続き要望してまいります。

2.介護保険制度について

区長介護保険の制度改正は、高齢化の進展に伴い介護費用が増大する中で、保険料の上昇を可能な限り抑え、制度の持続可能性を高めるため、区として国に変更を求める考えはございません。また、介護保険料の基準額について、高齢者・介護保険事業計画の策定時に、法に基づき適正に算定しており、計画期間中に引き下げる考えはございません。


 介護保険制度等の周知について、サービス内容や負担額等については、区ホームページを始め、区民向け、高齢者向けの冊子等を作成し、分かりやすい情報発信に努めているところです。今後とも、高齢者あんしん相談センターでの案内を含め、平常時からの備えや心構えにつながるよう、情報を充実させていくとともに、引き続き、周知を図ってまいります。

3.後期高齢者保険制度について

区長後期高齢者医療制度は、国の社会保障審議会等において議論されるべきものと認識しております。したがって、75歳以上の非課税者の窓口負担をなくす考えはございません。また、窓口負担の在り方は、全国後期高齢者医療広域連合協議会から国に対して要望しており、改めて区から要望する考えはございません。

4.認知症の保険について

区長:認知症の保険制度等については、一部の自治体で事業が開始されておりますが、国の認知症施策推進大綱において、政策効果の分析を行うこととされていることから、国の動向や他自治体の実施状況を注視し、研究してまいります。また、認知症検診事業については、本年度から、において補助事業が開始されており、今後、検査手法等の課題について整理をした上で、実施に向けた検討を行ってまいります。

5.人材確保と定着について

区長:介護人材の確保は重要な課題であると認識しております。そのため、介護従事者の資格取得住宅費に対する補助、新任介護職員人材育成プログラム等による人材育成、介護事業所における外国人介護人材の受入れに対する支援等を通して、介護人材の確保・定着を図っております。また、介護の仕事の魅力を高めるため、区内の介護サービス事業者と組織するアクティブ介護実行委員会により、介護の魅力を発信するイベントや、事業所合同の就職面接会を実施して、人材確保を図っております。学生向けの事業所見学ツアーや介護施設で働く職員による出前授業を実施したり、中学生向けに啓発冊子を作成、配布するなど、介護に対する理解が高まるような取り組みをしており、幅広い年代への理解促進に取り組んでまいりました。引き続き、これらの事業を継続的に実施し、介護人材の確保・定着に努めてまいります。
また、保健師の採用と育成については、地域の健康課題や新たな施策の展開に合わせ、適切な人数を確保してまいりました。今後も引き続き、適正な配置を行うとともに、保健師人材育成プログラムを見直す中で、効果的なローテーションやキャリアパスの構築を検討し、長期的な視点に立った人材育成に努めてまいります。

【防災について】

1.減災について

区長:区の減災に対する考えと対策について、予測できない自然災害に対して、区民一人一人が日頃から備えるなどの自助や、地域や身近にいる人同士が助け合う共助は、被害を減らすための取組である減災において重要な考え方であると認識しております。区では、地域防災計画において、「死傷者の6割減」、「避難者の4割減」、「帰宅困難者の安全確保」の3つの減災目標を掲げ、家具類の転倒防止対策の推進や、救出・救護体制の強化等に取り組んでおります。引き続き、減災対策を着実に進め、災害に強いまちづくりの実現に向けて取り組んでまいります。


 また、家具転倒防止器具助成制度の周知について、本制度は、65歳以上の方、又は障害者のみで構成される世帯に加え、避難行動要支援者名簿の登録者を含む世帯等を対象にしており、区報やホームページ、防災訓練等で周知するほか、避難行動要支援者名簿の登録者には、個別通知により御案内を行っております。なお、震災における犠牲者の大半が、家屋の倒壊や家具の転倒による圧迫死であるなどの事例を訓練等で紹介するなど、家具転倒防止器具設置の推進に向けて、引き続き、周知に努めてまいります。


 次に、住宅の耐震化率については、平成27年度末時点で、戸数ベースで88.8%となっております。区では、これまで、耐震化アドバイザー派遣耐震セミナー個別相談会などによる普及啓発を行ってまいりました。今後は、これらの取組に参加した方と区の助成制度の利用者を対象に、戸別訪問による意向調査フォローアップを実施し、よりきめ細やかな対応を行ってまいります。また、特定緊急輸送道路沿道の住宅について、耐震化の促進に向けた助成を拡充いたします。さらに、来年度、令和元年度末時点での耐震化率を調査し、耐震改修促進計画の改定を行ってまいります。

2.被災後の生活再建について

区長:避難者の生活再建等について、地域防災計画では、被災者の応急住宅対策については、都区が連携し、仮設住宅を建設するほか、借上げによる民間賃貸住宅や都営住宅等の空き家を確保し、提供することとしております。今後は、乳児や高齢者等の要配慮者が安心して避難生活を送れるよう、宿泊施設等も含め様々な団体との連携について検討してまいります。


 次に、財政調整基金と災害について、本区の財政調整基金条例では、財源が著しく不足する場合の不足額を補うための財源のほかに、災害により生じた経費や減収を補うための財源に充てることができることとなっております。大規模な災害時の財政対策としては、復旧・復興に向けた災害関連支出の増や所得の減少、災害減免などの影響による区税収入の減に対し、基金の取崩しや起債により対応することが想定されます。しかしながら、災害復旧・復興に必要な経費は災害の規模や内容により一様ではなく、どの程度見込めば適切なのかを示すことは困難と考えております。そのため、財政調整基金の残高については、今後も限られた財源の中で、本区の財政規模や安定的な財政運営を考慮しながら適切に判断してまいります。


 なお、災害時における廃棄物の対応等については、地域防災計画職員防災行動マニュアル等に基づき対応することとしておりますが、より具体的な計画を整備するため、国や都、特別区が策定した指針や計画等との整合性が図られた、災害廃棄物処理計画の策定について検討してまいります。また、特別区では、特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定を締結しておりますが、甚大な被害をもたらす災害が発生した場合に、各区及び東京二十三区清掃一部事務組合で、災害廃棄物の共同処理体制を構築する方策について、調査研究を行っているところです。他自治体への支援等の在り方については、今後、策定予定の災害時受援応援計画の中で検討してまいります。

3.災害情報について

区長:台風への対応等について、今回の台風では、水害・土砂災害対策実施要領に基づき対応を行いましたが、風水害時の緊急速報メールで送信できる情報は200文字と制限があることから、台風19号の際は、警戒レベル3における避難対象者や非常時の持ち出し品等、詳細な情報の伝達が困難でした。台風19号の際は、区からの情報発信における伝達内容やタイミングなどの課題があったと認識しており、区民が的確に避難行動を取れるよう、情報発信の方法について検討してまいります。


 なお、災害時の情報伝達手段として、区では、ホームページやSNS、「文の京」安心・防災メール、緊急速報メール等、状況に応じた様々な情報発信手段を整備してまいりました。今後も、必要な方へ確実な情報伝達ができるよう、避難行動要支援者に対する緊急情報一斉伝達システムを導入し、更なる情報発信手段の多様化を図ってまいります。また、災害情報の一元化等について、迅速で的確な情報発信を行うために、ICTを活用して気象情報や鉄道等の情報を取り込むなど、防災アプリや防災ホームページを含めた災害情報システムの再構築に取り組んでまいります。平常時からの各種防災情報の発信を含め、地域に応じた情報提供ができるよう検討してまいります。


 次に、防災行政無線の放送内容ですが、CATVや電話応答システムによって確認ができます。また、災害情報システムのメール等で情報配信や、防災ラジオの導入等、多面的に検討しております。現在、区立小・中学校、幼稚園及び保育園では、東京ケーブルネットワーク株式会社の緊急地震速報受信機器を設置しており、区立小・中学校では校内放送と連動した仕組みとなっております。なお、幼稚園や保育園では、園長・副園長の指示の下、定期的に避難訓練を行い、園児の安全確保に努めております。


 また、昨年1月の災害時FM放送局の試験放送でラジオの受信確認、東京ケーブルネットワーク(株)との協定に基づくアナウンサーの派遣やアマチュア無線局災害非常通信連絡会の協力による主任無線従事者の設置等の運用確認を行いました。災害時の開局は、申請に基づき周波が指定されるため、その周知が事前にできないことが課題で、それまでは避難所の掲示板や広報紙などを活用し、迅速かつ有効な周知方法を検討してまいります。


 なお、水害ハザードマップ等について、区では、今後、高潮ハザードマップの作成を予定しております。また、都は、来年度、隅田川の浸水想定区域図の改定を予定していることから、区においても、水害ハザードマップの改定を進めてまいります。このため、神田川洪水ハザードマップや、現在改定を進めている土砂災害ハザードマップを含め、各種ハザードマップが整った時点で、改めて周知方法について考えてまいります。

4.災害時の避難行動について

区長:風水害時における区民への避難行動について、台風19号の避難所開設に従事した職員から意見を集約したところ、避難時に水や食糧などの物資等を持参されない方や、土砂災害警戒区域等の居住者以外の方の避難等があったことが分かりました。いつ起こるか予測できない震災等とは異なり、今回のように予報等で被害が想定できる風水害の場合は、避難までの時間的猶予があることから、飲料水や水筒、食糧等を持参した上で避難していただくよう呼び掛けており、避難時に持参する物資等についての考え方の整理や、風水害特有の避難行動及び事前の備えについての区民への周知、避難所における要配慮者への対応などの必要性を認識したところです。区としては、近隣の安全な場所の確保に向けて、高層建物等の所有者と、地域住民の受入れなどの協定締結に努めてまいりますとともに、職員を対象とした避難所運営訓練等で対応力の向上を図ってまいります。現在、区では、災害時の避難行動の課題等を踏まえ、水害・土砂災害対策実施要領避難所運営ガイドラインの改定を検討しております。避難所の増設については、改定の中で検討してまいります。


 なお、医療救護所におけるデータの共有について、災害時には、区の災害対策本部が医療救護所や関係機関と構築する連絡体制を活用して、データ共有を図ってまいります。さらに、より広域的なデータ共有のため、国が管理、運用する広域災害救急医療情報システムについても活用してまいります。また、災害時の医療救護活動において、区が果たすべき役割と責任について、区は、地域防災計画及び災害時における医療救護活動マニュアルに基づき、災害時に医療救護所を設置するなど、的確な人的、物的資源の配置を行う役割を担っております。さらに、医療機関等との連絡体制を機能させ、被害状況等の情報を収集し、広報車やCATV、防災行政無線、掲示板等を活用して、区民に周知してまいります。


 そして、隣接五区で構成されている二次医療圏の地域災害医療コーディネーターと連携し、区内外にまたがる医療救護活動の調整を行ってまいります。災害時には、迅速な対応を図り、一人でも多くの区民の生命を守る責任を果たしてまいります。

5.地域防災力の強化について

区長:地域の防災力について、区では、区民防災組織に対する防災資器材格納庫の貸与等に関する要綱に基づき、町会・自治会に防災資器材格納庫を貸与しており、訓練等の機会を捉え、適切で効率的な使用方法について助言しながら、防災資器材の保管に有効に活用いただいております。また、本年度の重点施策である町会・自治会等の備蓄物資の充実事業では、各町会等が必要な防災資器材を選定するに当たり、町会に不足している資器材や防災格納庫の内容など、防災に関して様々な議論が行われたと聞いており、意識の向上が図られていると考えております。今後、支給資器材を活用した訓練や、訓練等の助成制度の周知啓発に努め、町会等が継続的に防災活動を行えるよう支援し、地域防災力の向上に努めてまいります。


 さらに、昨年度、避難所開設キット33か所全ての避難所に導入し、各避難所運営協議会がキットを活用した訓練が行えるよう支援することで、意識と実行力の向上が図られているものと認識しております。また、地区防災計画については、地域の自発的な防災活動を進める上で有用であると考えており、地域防災計画にも位置付けております。引き続き、住民が主体的に作成することの意義と重要性をPRするとともに、作成意向のある団体に対しては、相談等の支援を積極的に行ってまいります。


 また、自助・共助の取り組みを進めていただくため、町会・自治会の自主防災組織が持つ資器材等の充実に向けた支援を行うとともに、消防署との連携により、地域の防災力を高めてまいります。区民の不安を解消するための対応として、災害対策は、自らの身の安全は自らが守る自助と、自分たちのまちは自分たちで守る共助が基本であり、その上で、公助との連携を図りながら充実に努めていくことが重要と考えております。しかしながら、大規模災害時には、行政だけの対応には限界があり、区民同士による共助を高めるため、町会・自治会での備蓄や訓練の実施など、重要性を周知啓発してまいります。


 なお、災害対策における、新宿区との連携等について、特別区では、特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定を締結し、災害時は特別区相互間で連携し、支援体制を構築することとしております。本協定に基づき、本年7月には、関口一丁目地区及び新宿区の町会を対象にした、神田川流域における水害時の避難体制に関する行動ワークショップを開催し、連携を図ってきたところです。台風19号接近の際には、事前に新宿区に対し、関口一丁目地区住民の避難所への受入れについて、協力を要請いたしました。また、神田川の水位上昇に伴い、華水橋や隆慶橋など8つの橋を通行止めにするに当たり、関口一丁目地区の町会長に対し、改めて、新宿区への避難について御案内したところです。


 次に、水防訓練について、区では、台風や近年頻発する局地的な集中豪雨による災害に対し、水防意識の啓発や、水防工法の習熟等を目的として、区内消防署や消防団等とともに、出水期前の5月に、合同水防訓練を実施しております。本訓練は、神田川の増水区内各所の冠水家屋の倒壊等を想定し、訓練に必要な広い場所が確保できる教育の森公園等で開催してきたところです。実施場所については、訓練の内容や規模を勘案し、検討してまいります。

6.要支援者等への支援体制について

区長:災害対策における福祉避難所の対象者数は、首都直下型地震における被害としては、要配慮者とその介助者を合わせて2,000人程度を想定しております。また、福祉避難所の受入可能人数は、各施設との協議により定めており、現在、850人程度となっております。今後とも、区内の社会福祉施設等と協議し、受入可能人数の拡大に努めてまいります。なお、各避難所における要配慮者のスペースについては、それぞれの施設の状況が異なるため、避難所運営協議会と協議しているところです。


 次に、一斉情報伝達システム導入について、受信機器の配付対象となる避難行動要支援者名簿の登録者数は、現在、4,849人です。区が抽出した要介護度や障害等級に該当する方以外で、名簿への登録を希望することができる65歳以上の高齢者のみ世帯等の把握はしておりませんが、名簿登録者で機器を希望する方には、来年度以降、課題を整理の上、機器の開発状況等を注視しながら段階的に配付してまいります。なお、避難行動の支援者や希望される方には、スマートフォン向けの防災アプリ等を活用した一斉情報配信を検討しているところです。また、災害情報システム再構築の中では、防災行政無線等との連携等についても検討しており、情報伝達の多様化に加え、迅速な情報発信に努めてまいります。


 次に、避難所における要配慮者への対応等について、台風19号の際の避難所の開設・運営に当たっては、水害・土砂災害対策実施要領に基づき、区職員で対応いたしました。要配慮者に対しては、区の災害対策本部と避難所開設班が連携し、支援に努めたところです。しかし、要配慮者対応に不慣れな職員もいたことから、今後、統一的に支援を行えるよう、要配慮者に対する支援方法や注意事項等に関するマニュアル等を作成し、研修等を通して対応力の向上を図ってまいります。


 次に、高齢者等の避難について、本年3月に改定された国の避難勧告等に関するガイドラインに合わせ、本区においても、6月より、警戒レベルを用いた避難勧告等の発令の運用を開始しております。警戒レベル3の発令では、避難準備・高齢者等避難開始となり、土砂災害警戒区域等に居住する高齢者等の要配慮者は、避難に時間が掛かるため、立ち退き避難を開始していただくこととなりました。今後も、避難所開設について、早目の周知を行い、風雨が強くなる前の避難を促してまいります。


 次に、避難行動要支援者の個別計画について、個別計画の作成及び更新は、原則として本人又は家族が行うこととしており、不明な点等についての問合せには、コールセンターを設置し、きめ細かく対応しております。また、要支援者と関係の深い福祉事業者や介護事業者に個別計画の作成を呼び掛けていただくなど、情報共有を図っているところです。これらの取組により、個別計画の作成は円滑に行われていることから、作成手順を見直す考えはございませんが、引き続き、コールセンターで、個々の実情に合わせた丁寧な対応を行い、個別計画の実効性を高めてまいります。また、運営上の課題について、福祉避難所の運営に関する課題については、事業者と区で構成する災害時要援護者対策・福祉避難所検討会において、継続的に検討を行っております。また、トリアージの基準については、介護や保健の専門職の意見を踏まえて作成するとともに、移送に関しても、タクシー事業者の意向を確認しながら検討を進めているところです。なお、強度行動障害者等、専門的な支援が必要な方への対応についても、今後の課題と捉えており、事業者とともに検討してまいります。


 次に、要配慮者への支援体制の整備について、避難所では、避難者援護班が、民生・児童委員とともに、要配慮者への聞き取りを行い、ニーズを把握することで、災害対策本部との連携を図り、対応してまいります。そのため、ボランティア事前登録制度により、福祉、医療等の専門的な知識や技能を有する人材をあらかじめ専門ボランティアとして確保し、災害時に避難所へ派遣することとしております。さらに、支援の充実を図るため、要配慮者向けスペースの設置情報伝達手段の確保等、ニーズを反映させた支援策を実施してまいります。


 なお、避難所における専門職による要配慮者支援については、避難所からの要請に基づき、災対福祉部と医療救護部が連携し、医療機関への移送や医師等の派遣要請を判断するとともに、巡回による健康相談及び精神保健の手配を行ってまいります。また、区に登録されている専門ボランティアの派遣に加え、不足する場合には都に応援を要請するなど、必要に応じた支援を行ってまいります。


 次に、福祉避難所の担当職員について、各福祉避難所へは、地域防災計画に基づき、災対福祉部に所属する福祉職や事務職等の職員を派遣することとしており、応急・復旧対策業務や非常時優先通常業務に従事する職員以外からの派遣を想定しております。また、避難所への保健師の配置について、保健師は、災害対策本部設置後、主に医療救護部保健活動班として、被災住民の健康管理避難所における健康相談、地域における巡回健康相談等を行うこととなっております。


 中期以降は、他自治体から派遣された保健活動チームに、避難所や自宅避難者への直接支援を依頼し、区の保健師は、その他医療救護活動の調整及び事業継続計画に基づく通常業務の再開に対応することが想定されています。なお、区の保健師等だけでは保健活動が困難な場合は、国や都に応援派遣を求めることができるため、引き続き、受援体制の整備に努めてまいります。

7.災害時の避難所について

区長:避難所について、各避難所の有効面積は、体育館に加え、普通教室特別教室の合計面積から算出しており、避難者が収容可能人数を超過するおそれのある避難所は、礫川小学校など16か所となっております。避難所には、自宅が倒壊や焼失した場合、又はそのおそれがある場合に避難することを基本としておりますが、災害の規模により、避難者を収容できない場合には、地域活動センター等の区有施設や、協定を締結している13の学校施設二次避難所として開設することとしております。また、学校改築などの機会を捉え、想定避難者数の受入れができるよう、検討を行っております。これらのことから、引き続き、学校や企業との新たな協力関係を構築していくとともに、国や都の災害時における支援対策の動向を注視しつつ、国や都と連携し、避難所機能の向上に努めてまいります。なお、自宅等、避難所以外の場所で生活する方の支援方法等について、地域防災計画では、食糧や飲料水を、原則避難所において提供し、健康管理を支援するため、医師等による避難所での医療救援活動に加え、被災住民への保健師等による巡回健康相談等を行うこととしております。


 次に、防災士との連携については、防災士は避難所運営協議会の中心となり、避難所運営訓練等を実施するなど、区民が主体的に防災対策活動をすることが、自助・共助の観点からも重要と考えております。昨年度実施した防災士意見交換会には13人の参加があり、防災対策や今後の意見交換会の在り方について、活発な意見が交わされました。防災士の知見や技術の活用については、今後、区や防災関係機関との連携も含め、検討してまいります。また、避難所総合訓練等における課題を整理し、教育委員会と情報共有を図り、効率的かつ効果的な活用が図れるよう検討しており、医師会、歯科医師会、薬剤師会と連携して医療救護活動に関する関する訓練を実施し、その後の検証を通じて、改善に向けた検討を行っております。なお、プールの通年貯水は、各校の事情に応じ検討してまいります。


 次に、多様な主体との連携について、NPOやボランティア、地域団体等との連携は、被災者の救済や被害拡大の防止に大きな役割を果たし、共助の立場から欠くことのできないものと認識しております。そのため、区では、支援団体との協力体制やボランティアの受入体制づくりのため、社会福祉協議会や防災関係機関との連携に努めているところです。また、医療や語学等、専門的な知識や経験を有する専門ボランティアについては、事前登録制度を導入し、登録者は避難所総合訓練に参加するなど連携を図るとともに、大学との協定において、災害時に学生ボランティアの派遣を受けることを定めております。引き続き、多様な主体との協力体制の構築や人材確保に努めてまいります。


 ペットの同行避難については、災害の状況によって、各避難所の受入可能数等を想定することは困難でありますが、過去の災害時の事例や、避難所における受入れの調整方法などを、今後、避難所運営協議会と研究してまいります。また、避難所におけるペット飼育のルール等については、避難所運営ガイドラインに案を掲載しており、各避難所運営協議会において定めることとしております。なお、避難所のスペースが不足する場合には、地域防災計画に基づき、文京獣医師会等との連携や他県市への要請も含め、他の飼養場所の確保を検討してまいります。また、ペット同行避難マニュアルの配布については、総合防災訓練等の機会を捉えてマニュアルなどを配布し、区民への周知・啓発に努めるとともに、受入れ側となる避難所運営協議会への理解も求めてまいります。


 次に、ペットと過ごせる空間を設けた避難所の設置について、避難所におけるペットは、避難所運営協議会があらかじめ策定したルールに基づき、避難者とは別の部屋又は屋外に張ったテント等で飼育することとしておりますが、動物が苦手な方や、動物に対してアレルギーを持っている方への配慮も求められることから、同行避難の在り方について、避難所運営協議会とともに研究してまいります。

8.避難所の備蓄品等について

区長:避難所生活の改善や充実について、要配慮者等の震災関連死やエコノミークラス症候群、肺血栓による関連死を防止するために段ボールベッドを、また、プライバシーを守る空間を確保するために、プライベートテント多目的テントを、本年度、区内33か所の全避難所に整備いたしました。台風19号の際に開設した避難所では、実際に段ボールベッドを活用したところですが、引き続き要配慮者の方を優先として、これらの物資の活用に努めてまいります。また、避難所運営協議会や学校管理者との協議を踏まえ、要配慮者等が安心して過ごせる避難スペースの確保に努めてまいります。


 なお、避難所の質の向上について、スフィア基準については、国の「避難所運営ガイドライン」の中で、「今後の我が国の避難所の質の向上を考えるとき、参考にすべき国際基準」とされており、十分認識しております。避難所において、どのように参考にできるか今後の課題と考えております。


 次に、備蓄食料等については、発災後3日目までは都と区が連携して確保するとともに、区では、避難所となる小・中学校等の備蓄倉庫のほかに区内11か所の拠点となる備蓄倉庫に備蓄しております。引き続き、都区間で連携し、非常食等の確保に努めてまいります。また、これまで区が協定を締結している大学等とは、備蓄物資を含めて災害時の対応について協議を進めてまいります。また、最低3日分、推奨7日分の水や食糧の備蓄や、家族との安否確認手段の取決めを推進するなど、自助を高める取組を進めているところです。


 次に、避難所におけるトイレ環境の確保、運営について、避難所のトイレは、排水管等の下水道施設に支障がない場合に限り、使用いたします。排水管等に支障がある場合には、簡易トイレをトイレ個室内で使用し、簡易トイレが不足するときやトイレ個室が被害を受けているときは、マンホール直結型トイレ組立式トイレ自動ラップ式トイレを、定期的に消毒を行いながら活用することになります。さらに、備蓄分の簡易トイレが不足した場合には、都に対して提供を要請するとともに、震災時における災害対策用物資の調達に関する協定に基づき供給される仮設トイレを活用してまいります。また、し尿対策については、東京都環境保全協同組合との協定に基づき、収集を要請いたします。し尿収集車が確保できない場合には、都に対して、収集業務を要請してまいります。さらに、携帯トイレの備蓄に関する周知について、毎年開催している備蓄の日PR展において、必要な備蓄数など、パネル展示による周知を行っております。携帯トイレの備蓄については、自助の取組の一つとして重要であり、今後、避難所総合訓練や防災フェスタ等での周知に努めるとともに、各種配布資料等への掲載を検討してまいります。


 次に、テントの備蓄について、本年度、避難所でのプライバシーの保護や授乳等に使用するプライベートテント更衣室や間仕切りなどに使用する多目的テント及び段ボールベッド全ての避難所に備蓄し、備蓄資器材の充実を図っております。今後、これらの資器材を訓練等で活用し、参加者が組立て方を習得し、使用時の注意点を把握するなど、実効性を高められるよう努めてまいります。また、備蓄や土のうステーションの増設について、新たな設置場所等の検討を進めており、配付できる土のうの数量も増やすよう努めてまいります。

9.無電柱化について

区長:国や都において、緊急輸送道路の無電柱化が進められており、区においても、無電柱化推進計画に基づき、緊急輸送道路である日医大つつじ通りの無電柱化事業を進めているところです。無電柱化を実施する路線は、災害に強い都市の整備歩行空間の快適性の向上地域の魅力を生かした良好な景観まちづくりといった、三つの目的を踏まえて選定します。しかしながら、これら無電柱化された緊急輸送道路から避難所等までのラストマイルとなる緊急道路障害物除去路線については、幅員が狭い道路が多く、無電柱化が困難な状況のため、災害時に避難等ができないリスクが潜在しています。


 このため、緊急道路障害物除去路線のうち、短区間の路線については、避難所等の公共施設内への地上機器設置や、電線共同溝方式以外の手法を活用することにより、短期間で無電柱化できる可能性があることから、来年度より、基礎調査等を実施してまいります。また、現在事業を進めている日医大つつじ通りと巻石通りについては、新技術である浅層埋設や新材料の利用などの低コスト手法を採用しております。


 今後も、この二路線の進捗状況に加え、その時々の区政における最重要課題の優先順位を判断する中で、事業化してまいります。また、新技術や先進事例を積極的に取り入れることで、コスト削減や工期短縮に努めてまいります。

【安全・安心まちづくりについて】

1.再開発事業とまちづくりについて

区長:再開発事業における、春日・後楽園駅前地区市街地再開発事業について、本事業では、地域コミュニティ形成の場となる広場空間である「グリーンバレー」を中心に、住宅・商業・業務等の機能が調和した、本区のシンボルゾーンにふさわしいまちが形成され、にぎわいの創出が図られると考えております。なお、春日・後楽園駅前地区においては、防災備蓄倉庫帰宅困難者の一時滞在用スペース等を確保する計画となっております。事業完了後も、住民等と連携し、周辺地域とともに発展するために、まちの魅力を更に高める取組を組織横断的に検討してまいります。


 また、後楽二丁目地区の再開発事業について、地域住民による後楽二丁目地区まちづくり連絡協議会において、まちづくりを進めていくための様々な検討が行われていると聞いております。区としても、後楽二丁目地区は狭い道路が多く、木造住宅が密集するなど、防災面や交通上の課題及び都市計画上の課題があると認識しております。今後、活力とにぎわいのある、安全で快適な市街地の形成を推進していくため、都市計画の検討と併せ、ハードとソフトの両面から、後楽二丁目地区全体のまちづくりを支援してまいります。


 さらに、茗荷谷駅・教育の森公園周辺は、都市マスタープランにおいて、大学等の集積を生かした地域拠点の形成をまちづくりの方針として掲げております。今後、新たに開設される大学が加わるほか、小石川図書館の改築の検討を進めることにより、「教育のまち」としての魅力を一層高めてまいります。なお、区では、公式PR動画の作成を始め、ホームページやSNS、報道機関への情報提供等により、区のまちの多彩な表情や魅力を伝えております。引き続き、これらのまちづくり事業等についても発信し、「選ばれる自治体」として発展させてまいります。


 また、市街地再開発事業による防災力の強化と緑の創出について、市街地再開発事業は、共同化土地の高度利用を図り、有効なオープンスペースを確保するなど、総合的に整備を行うことにより、街区単位で防災性や緑被率を向上させることができる、まちづくりにおいて有効な手法の一つと考えております。  次に、地域文化資源の保全活用について、地区などの地域文化資材を有する地域においては、防災対策等、様々な地域課題を解決しながら、歴史・文化的資源を地域のまちづくりの中で生かしていくことが大切と考えております。また、空き家等の所有者と利活用者をマッチングさせる空家等利活用事業を始めたところです。今後も、区民主体のソフト面の取組を支援できるよう庁内で連携を図るとともに、ハード面の課題解決に向けて、地域の意見を聞きながら、まちの個性を生かしたまちづくりに取り組み、安心して住み続けられる、持続可能なまちの実現を目指してまいります。


 次に、住環境政策における、これまでの成果と今後の課題について、景観施策では、事前協議を行い、区の特性を生かした文京区らしい景観形成に取り組んでまいりました。また、分譲マンションを対象に、マンション管理士派遣個別相談を始め、管理組合の設立等の支援を行っております。さらに、空き家対策として、除却費用に対する補助に加え、空き家の利用を希望する方とのマッチングや、必要な改修費用を補助する利活用事業を開始しております。これらの施策を通して、良好な住環境が維持できていると考えております。今後は、4月から実施する分譲マンションを対象とした管理状況届出制度を確実に運用し、管理不全等に対する助言や支援を的確に行うとともに、建築紛争の予防に向け、より迅速で効果的な対応に努めてまいります。なお、住環境に関する調査の検討状況について、区には、管理不全な住宅が存在する一方で、多くのマンション等が建設されております。今後の人口構成や住宅ニーズを捉えるだけでなく、利活用が可能な空き家等を含めた住宅ストック状況などを把握する必要があり、現在、調査の実施に向けた検討を進めております。


 ところで、小石川四丁目民有地の活用について、私(区長)が本社社屋建て替えに関する情報提供を受け、平成29年12月に土地所有者を訪問した際は、土地活用について、方向性も含め未定であると伺い、学校の改築等、地域の状況を説明してまいりました。今般、借地権者が決定したことを受けて、再度訪問し、仮に当該敷地に大規模マンションが建設されると、急激な人口増加に伴う地域資源への負荷の対策が課題となることを伝えるとともに、保育所・育成室などの子育て施設の整備等について、改めて文書で要望したものです。


 あわせて、土地所有者、借地権者と本区の3者による協議の場の設置についても求めております。借地権者による借地期間が令和6年からとなっておりますが、土地活用計画の策定段階から協議するよう、引き続き、三者協議の場の設置を求めてまいります。その中で、児童数などの具体的な見込み等について把握するとともに、要望書に記載した施設以外の施設についても、必要に応じて協議してまいります。区としては、新しく創出される施設を含めた環境が、区民の安全と豊かな暮らしに資するものになるよう、地域貢献の観点から協議に臨んでまいります。

2.建築紛争について

区長:マンション紛争の予防について、区では、紛争予防条例及びワンルームマンション条例並びに中高層建築物指導要綱において、都市マスタープラン等との整合を図ることを求めるとともに、標識の設置説明会等による近隣説明の実施及びあっせん制度調停制度を設けております。現在、これらの制度を総合的に活用して、建築紛争の予防や解決を図っており、その有効性を認識しているところです。また、条例等に該当しないものについても、建築計画等に対する近隣住民からの御相談に応じるとともに、事業者にその内容を伝えるなど、事業者には話合いによる解決を指導しております。引き続き、より効果的・効率的な取組の研究を続けてまいります。


 なお、まちづくり条例について、建築紛争の予防や解決に当たっては、現行の制度等の活用により、十分に対応できていると考えております。また、より効果的・効率的な取組となるよう、適宜、業務の改善を行っており、新たな条例の制定は考えておりません

3.旧元町小学校及び元町公園の整備について

区長:旧元町小学校の整備における、施設の有効活用について、区は、今回の公募において、歴史性の継承や校舎の一部保全、公園との一体性の確保等、多岐にわたる条件を求めてまいりました。今回選定された事業者からの提案では、そうした条件を十分に踏まえた計画となっております。プロポーザルによる事業者選定について、区ではこれまで、有識者や区民等から幅広く御意見を伺いながら、整備方針を策定し、それを踏まえた募集要項により公募を実施しております。事業者の適正な競争を確保する観点から、選定過程における提案内容の公開やパブリックコメントの実施等は、プロポーザルの手続上、想定しておりません。なお、選定に当たっては、学識経験者や地域の代表の方にも委員として加わっていただき、事業コンセプトに沿った、より効果的な提案を採用してまいります。


 次に、子育て支援や介護予防の取組等について、本敷地では、認定こども園を整備するほか、現在、旧元町小学校で実施している病後児保育を開設後も引き続き運営することとしており、さらに、提案のあった病児保育についても協議してまいります。病後児保育所について、事業委託先の学校法人とは、契約期間終了後、本郷キャンパス又は当該キャンパスの周辺において、病後児保育事業を継続的に実施することについて覚書を交わしており、今後の継続方法については、当該学校法人と協議を進めているところです。


 また、認定こども園や、地域住民が利用できる多目的室と地域団体活動室、備蓄倉庫のスペースを十分に確保し、非常時の緊急物資の搬入経路や、非常用電源設備等を備えた避難所機能を整備することとしております。区としては、その実現性を図り、利用しやすい施設となるよう、事業者と協議を進めているところです。


 さらに、事業者からは、多様なニーズに合わせた保育所の運営や、シニア健康カレッジスポーツプログラムの企画・運営など、様々な地域貢献の御提案を頂いており、大学法人が所有することとなる体育館の利用も含め、具体的な内容については、代表事業者と協議してまいります。なお、認定こども園の閉園時の園庭利用については、今後、検討してまいります。


 次に、カフェ等の設置について、募集要項では、旧元町小学校と元町公園の一体的な屋外空間を形成している特徴を生かしつつ、にぎわいコミュニティ向上を図るための提案を求めており、事業者からは、それを踏まえた具体的な提案を受けることとなっております。また、元町公園の整備等について、元町公園は、地域住民等の御意見も伺いながら、公園内の特徴的な意匠を残し安全性を高め、魅力ある公園としてまいります。なお、文化財登録については、必要な改修等を行った後、慎重に検討してまいります。

4.コミュニティバスB-ぐるについて

区長:Bーぐるにおける、本郷・湯島地域における新規路線については、現在、運行事業者の募集を実施しており、本年度中に選定を行う予定となっております。募集に当たっては、ニーズ調査に基づく地域住民の意見を踏まえた提案を求めております。また、選定に当たっては、町会、商店街連合会、観光協会、高齢者団体及び障害者団体からの代表や、学識経験者等による選定委員会において審議を行い、区民ニーズを反映した路線となるよう選定してまいります。

 なお、事業者からの企画提案内容を大幅に変更することは難しいと認識しておりますが、今後、対象地域における住民説明会を実施し、地域の皆様の御意見を伺い、具体的なバス停の位置等、可能な範囲で運行事業者と調整を図ってまいります。


 次に、コミュニティバス等における、Bーぐるの新規路線等について、Bーぐるの運行の主たる目的は、公共交通不便地域を解消することであり、新規路線の検討に当たっては、従来からの基本方針や重点目標に加え、福祉的な視点観光的視点も踏まえた多角的な視点から評価検討を行い、本郷・湯島地域を導入区域といたしました。


 その他の公共交通不便地域への対応やBーぐるの逆ルートについては、狭隘な道路幅員や一方通行、都営バスとの競合等の課題があることから、全てをコミュニティバスで対応することは困難であり、社会情勢や交通システムの進展等を踏まえた上で、都市部における多様な公共交通手段の可能性について、今後研究してまいります。

 東西を結ぶルートについては、既存の都営バスやBーぐるとの重複区間が多いことから、都営バス路線の減便・廃止を誘発するおそれが高いことに加え、コミュニティバス導入の趣旨からも、実現は難しいものと考えております。また、新規路線における鉄道駅等の経由地については、現在実施している運行事業者の募集において、ニーズ調査に基づく、地域住民の意見を踏まえた提案を求めており、区民ニーズを反映した路線となるよう、選定してまいります。なお、道路幅員等の道路構造上の条件や、導入コスト及び維持管理費等の課題があることから、中型バスの導入はできませんが、上屋付きバス停等については、設置可能なバス停について、費用対効果等を鑑みながら、引き続き検討してまいります。


 なお、Bーぐるの文京シビックセンター停留所について、現状として、シビックセンター側の植栽を削り、歩道を広げておりますが、これ以上植栽を削ることは構造上困難です。そのため、バス停留所の利用者に対し、歩行者等の安全に配慮した並び方に御協力いただけるよう、停留所への掲示を実施しているところです。今後、車内アナウンスの活用等、更なる周知に努め、バス利用者や歩行者等の安全の確保を図ってまいります。また、関係機関等と協議を行いながら、停留所周辺の通行上の安全性改善について、検討してまいります。

5.公園再整備と防犯カメラについて

区長:公園再整備における、公園の役割等について、公園は主に、緑による憩いの場都市の安全性・防災性の向上レクリエーションの場地域交流の場としての役割を担っているものと認識しております。公園再整備においては、これらの役割を踏まえ、公園の規模や地域特性アンケート調査意見交換会での意見など、多様なニーズに対応した整備により、安全・安心で、誰もが楽しめる公園づくりを進めてまいります。


 次に、ユニバーサルデザインの公園について、公園再整備に当たっては、公園の規模や地域特性のほか、アンケート調査意見交換会での御意見などを踏まえ、多様なニーズに対応した整備を進めております。ユニバーサルデザインに配慮した公園造りについては、子育て世代や高齢者、障害者などから幅広く御意見を頂くとともに、国の指針などを踏まえ、検討を進めてまいります。なお、現在、再整備を進めている神明都電車庫跡公園では、車椅子のまま利用できる砂場など、インクルーシブ遊具の設置を検討しております。また、神明都電車庫跡公園でのイベント開催について、特色である都電車両が、地域や近隣区有施設との連携による様々なイベントに活用され、更なる豊かな地域づくりにつながるものと認識しております。


 次に、礫川公園再整備についての、公園の再整備を行う際は、公園再整備基本計画に基づき、利用者や近隣の町会、保育園等の意見を伺いながら、公園内における緑や施設の整備方法を決定しております。礫川公園については、公園の特徴を踏まえ、土地の高低差を生かした遊具の設置健康遊具の更新など、全世代でにぎわう、魅力ある公園づくりを行ってまいります。


 現在、緑の基本計画改定協議会において、緑の保全や創出の目標設定について、検討を進めているところです。教育の森公園及び大塚公園については、リニューアルした教育の森公園は、自由広場の排水機能向上やバリアフリー化によるスポーツセンターとの一体化などにより、多くの区民の方に親しまれ、ご利用いただいております。また、大塚公園の再整備を行う際は、区民参画による意見交換会やアンケートを踏まえ、既存施設の更新や新規遊具の設置などにより、これまで以上に魅力ある憩いの場としてご利用いただけるよう、検討してまいります。


 次に、ボールが使える公園について、区内には、大塚窪町公園の他8園にフェンスで囲った施設を設置しており、誰もが自由に球技することが可能となっております。また、「文の京」施設予約ねっとを導入している公園では、予約状況を確認することはできますが、空き時間帯は直前まで利用申込みを受け付けていることから、現時点では一般開放については難しい状況です。しかしながら、年少人口の増加に伴う遊び場の確保の必要性は認識していることから、今後の研究課題としてまいります。なお、目白台運動公園では、近隣の子どもたちが利用しやすいように、毎週水曜日と第2土曜日、第4日曜日を一般開放としております。


 さらに、区立公園や児童遊園の防犯カメラ設置は、安心・安全な公園づくりに必要と認識しており、本年度は六義公園、お茶の水公園再整備において設置いたします。区道については、町会等の地域活動団体が設置しており、昨年度末には、全体の62%の町会・自治会が安心・安全まちづくり推進地区に指定され、そのほぼ全ての地域に防犯カメラが設置されております。今後も、公園内の防犯カメラの設置を進めるとともに、推進地区の指定をさらに促進して、防犯力の向上に努めてまいります。

6.自転車通行帯対策と駐輪場の整備について

区長:自転車走行空間の危険箇所の対策について、現在、区を始め、国、都及び警察において、自転車走行空間の整備を進めておりますが、一定区間ずつ順次整備を進めていることから、整備の起終点においては走行空間が連続しないこともあり、安全性の低下が懸念されているものと認識しております。自転車走行に危険な箇所数は把握しておりませんが、国、都及び警察と情報共有を図り、起終点における更なる安全対策について検討してまいります。


 次に、自転車駐車場の整備について、駅周辺の自転車駐車場が不足していることは認識しており、昨年度、後楽園駅前に、新たに47台一時利用制自転車駐車場を整備いたしました。 また、東大前駅付近では、定期利用制自転車駐車場の一部を一時利用制に転換するなど、利用者の状況に応じた整備にも努めているところです。さらに、茗荷谷駅周辺には、現在320台の定期利用制自転車駐輪場と190台の一時利用制自転車駐輪場を整備しております。


 更なる駐輪対策として、都営バス大塚支所跡地への整備に向け、事業主体である大学と協議を進めているところです。また、江戸川橋駅御茶ノ水駅湯島駅周辺でも、自転車駐車場の確保に向けて、都と協議を進めております。なお、宅地開発並びに中高層建築物等の建設に関する指導要綱において、商業施設等の建築物を計画する際には、一定の割合で自転車駐車施設を設置するよう規定しております。今後も、駅周辺や商業施設等における自転車駐車場の確保に向けた取組を進め、区有地、国道及び都道を含め、適地の確保に努めるとともに、使いやすいものになるよう、整備を進めてまいります。

7.小石川図書館について

区長:これからの図書館の在り方について、本区の図書館は、徒歩圏内に中規模館を配置することにより、区民ニーズに応える身近な施設として、多くの区民に親しまれ、利用されております。図書館の在り方については、豊富で多彩な資料と利用者が出会う場として、利用者の要望や地域の実情等に配慮するとともに、時代の変化に応じた機能を加えていく必要があると考えております。そのため、今後の新たな図書館サービスの導入について、文京区立図書館改修等に伴う機能向上検討委員会において、広く意見を伺っているものと認識しております。


 また、茗荷谷地域には、大学等の多くの教育施設や図書館、アカデミー茗台等の文化・生涯学習施設が集積しております。さらに、都営バス大塚支所跡地には、図書館サービス機能等を含む地域活動センターを整備するとともに、事業主体である大学の図書室の区民等への開放が予定されております。このような豊富な地域資源が、学生を含む区民等に活用されるよう、各大学や関係機関との連携について検討してまいります。




教育長:小石川図書館の建て替えについて、現在、文京区立図書館改修等に伴う機能向上検討委員会において、町会、PTA等の代表や公募区民を含む委員により、小石川図書館を含めた区立図書館の在り方について検討を行っているところです。また、バリアフリー化を始め、今後必要とされる機能や適正な規模等について検討し、来年度以降、改築基本構想を策定してまいります。なお、改築に当たっては、利用者や地域の声を丁寧にお聞きしてまいります。


 また、小石川図書館と竹早公園との一体整備については、、都市計画公園としての用途等を踏まえて、関係部署との協議を進めることとしております。ご提案のAR技術の活用も含め、様々な最新のICT技術導入事例等を研究してまいります。


 次に、図書館機能に関するICタグ等の導入や閲覧席の利用調整等、最新のICT技術導入を含めた図書館機能の向上については、検討委員会において、先行事例を参考にしながら、費用対効果等も考慮して検討してまいります。また、現行の図書館システムが導入後9年を経過し、来年12月にリースアップを迎えることから、利用者サービスの更なる向上と業務の効率化を図るため、新たな図書館システムの構築に着手してまいります。


 次に、選書の改善について、文京区の図書館では、区の選書基準に基づいた選書を行うとともに、他区の予約状況等を参考に、潜在的ニーズも考慮し、幅広い資料の収集に努めております。今後も、図書館の架空スペースや蔵書攻勢を総合的に判断しながら、適切な資料選定を行ってまいります。利用調整の方法につきましては、他の自治体の事例も踏まえ、ICT活用も視野に入れ、研究してまいります。


 なお、区立小石川図書館の改築に伴う車椅子使用者への配慮について、基本設計・実施設計を行う際には、関係法令等を遵守し、適切に対応してまいります。バリアフリーパートナーについては、NPO法人と協働で事業を運営する有償ボランティアの制度であり、その性格上、謝礼は交通実費程度としております。支援が必要な子どもに対しては、バリアフリーパートナーのほかにも、特別支援教育担当指導員等を配置しており、それぞれの支援者がその役割に応じ、協力しながら支援を行っております。

8.町会・自治会の活性化について

区長:町会・自治会における支援体制として、区では、町会・自治会に対し、事業への補助や情報提供等、様々な支援を行っているところです。また、これまでも、地域活動センターにおいて、地域の課題をきめ細かく収集し、関係機関へつなげております。引き続き、町会・自治会と区の双方が、緊密な連携・協力の下、継続的に様々な地域の課題解決に取り組んでまいります。次に、行政職員や専門的なアドバイザーによる支援について、区では、ふれあいサロン事業を通して、地域活動を担う人材の発掘・育成等を進めております。今後、社会福祉協議会との連携による講座や、現役世代の参加促進等に取り組んでまいります。また、都の地域活動支援アドバイザー派遣事業を活用し、町会・自治会が抱える悩みや課題の解決に向けたアドバイスを行っており、幾つかの町会で御利用いただいております。今後も、積極的に活用していただくよう、情報提供を行ってまいります。


 次に、町会・自治会の位置付け等について、本区では、自治基本条例において、町会・自治会等を始めとした地域活動団体や区の責務を定め、それぞれが対等の関係で協力し、協働・協治を推進しております。なお、町会・自治会の活動を活性化するために役員等の高齢化や加入率低下という課題を解決することが重要と認識しており、これまでも、町会・自治会への加入や活動への参加を促進するためのポスター等の作成に対する補助や、転入者にパンフレットの配付等を行っており、昨年8月からは、文京区町会連合会と東京都宅地建物取引業協会文京区支部との事業連携により、加入の働き掛けを行っております。さらに、来年度から、区内全域に設置している区設掲示板に、その地域がどの町会・自治会に属するのかが分かるよう表示を行い、町会・自治会の認知度を高める取組を実施してまいります。今後とも、地域活動センターが町会・自治会と地域住民との調整役を担うことで、町会・自治会への更なる支援を行ってまいります。

9.中小企業・商店会の活性化について

区長:中小企業支援における、海外展開に向けた支援について、本区では、海外展開を希望する区内中小企業に対し、海外展開セミナーを実施しており、これまでも、セミナーに合わせ、中小企業基盤整備機構による個別相談会を実施するなど、関係機関と連携した支援を行ってまいりました。来年度は、東京都中小企業振興公社等と連携した、中小企業の企業力向上セミナーにおいて、海外展開BCP事業承継等について取り上げてまいります。さらに、国や都が実施する各種事業の周知啓発も図るなど、引き続き、区内中小企業の海外展開を推進してまいります。


 次に、SDGsの取組への支援について、SDGsを十分に理解し、経営にも生かしていくことは、中小企業においても持続的な発展のために重要と認識しており、本区では、SDGsの本質的な理解促進に向け、本年度、SDGsワークショップを実施したほか、「All Bunkyo企業人交流会」において、SDGsに取り組む中小企業の事例紹介や、参加者による意見交換等を行いました。いずれの事業も、参加者から高い評価を頂いており、今後も、区内中小企業におけるSDGsの取組を促進し、持続的な発展を推進してまいります。


 また、中小企業退職金共済制度は、中小企業の従業員の福祉の増進と、中小企業の振興に寄与するものとして重要であると認識しており、本区においても、窓口でのチラシの配架や、産業情報紙「ビガー」への掲載等により、中小企業への周知を行っております。国、都及び一部の自治体では補助制度を設けておりますが、退職金は社員の給与に相当するものであることから、支援の必要性や支援策については、慎重に検討すべきものと考えております。


 なお、顧客や取引先からの迷惑行為であるカスタマーハラスメントは、国において、対策についての報告書が示されるなど、社会問題となっております。本区においては、現時点では、カスタマーハラスメントについての相談事例はございませんが、区内の産業団体との意見交換等を通じて、状況把握に努めるとともに、国の動向を注視し、カスタマーハラスメントによる労働者の被害を防止するための取組等について、関係機関等と連携し、事業者への周知啓発に努めてまいります。また、消費者自身が、スマートコンシューマーとして、人や社会に配慮し、倫理的な行動を取ることができるよう、引き続き、消費者啓発事業を実施していくほか、トラブルを未然に防止するための情報提供や、相談体制の充実を図ってまいります。


 次に、商店会や中小企業の活性化における、各種支援事業について、これまでも、中小企業支援員による伴走型の訪問相談を始めとして、経営相談融資あっせん制度各種補助事業及びセミナー等、様々な側面から支援策を実施しております。区としては、企業ニーズの把握に努めるとともに、景況動向や金融情勢など様々な視点を踏まえ、常に改善や見直しを行っているところです。本年度は、新たに区内中小企業における企業力の向上をテーマとし、先端設備等の導入支援や各種認証取得等への補助を拡充したほか、商店街活性化に向けた若手商店主のネットワーク化を目標として、商店街若手人材育成事業を実施いたしました。今後も、区内中小企業のニーズを適切に把握し、SDGsやSociety5.0等の新たな視点を盛り込んだ事業内容の充実に努め、効果的な支援に取り組んでまいります。


 次に、就労支援や起業について、区では、中小企業支援員による訪問相談や創業者へのアンケート調査等を通じ、支援事業の課題の把握に努めるとともに、今後の事業の改善や再構築に反映させております。その結果、人材確保支援事業においては、女性の採用を希望する区内中小企業や、再就職を目指す女性が増加していることから、平成30年度から、中小企業人材確保・企業改革支援事業において女性の就労支援を行い、30年度は7名の女性が就職するなど、成功例も増えてきております。また、若年者に向けた就労支援について、区では、これまでも、中小企業人材確保・企業改革支援事業やハローワーク飯田橋との共催事業等を実施しており、本年度、新たに、日本女子大学及び明治大学との連携により、両大学のリカレント教育受講者に対して区内中小企業とのマッチングの機会を提供する中小企業人材確保・採用拡大支援事業を実施いたします。


 本事業については区報やホームページ、SNS等、様々な機会を捉えて積極的に周知してまいります。また、就職希望者に対しては、就職応援セミナーや個別カウンセリングによるマッチング支援を行うとともに、企業とマッチングが成就した後のフォロー体制も整えてまいります。今後も、大学や近隣の就労支援機関と連携を図り、若年者の就労支援及び区内中小企業の人材確保に資する効果的な事業を実施してまいります。民間の知見やノウハウ等も積極的に活用しながら、より高い成果につながる効果的な事業を実施してまいります。


 次に、プレミアムお買物券について、本年度は、国のプレミアム付商品券事業の実施に伴い、文京区商店街連合会発行分を5億5,000万円に増額して実施いたしました。抽選後のキャンセル分を除いてほぼ完売し、取扱店舗も昨年度の725店から274店増え、999店になったとの報告を受けております。商店街連合会の意向も踏まえ、来年度も、プレミアムお買物券事業を実施することとしており、地元商店会商店街連合会への加入促進と、商店街の活性化の支援に努めてまいります。


 なお、商店への支援において、商店が直面している課題等について、商店主の高齢化や後継者不足、商店会の加入数の減少傾向等が課題となっております。区では、本年度から、商店街若手人材育成事業を実施し、商店街活動の担い手となる若手商店主の育成やネットワークづくりを推進しております。また、商店街のイベント及び環境整備等を補助するほか、地域特性に応じた商店街の活性化を図るため、商店街エリアプロデュース事業を実施するとともに、区内で新たに開業する方に対する支援を行い、区内商店増加の促進に努めているところです。今後も、各事業内容の充実を図るとともに、商店会等のニーズを丁寧にくみ取りながら、活気ある商店街に向け、支援を行ってまいります。


 次に、創業支援について、区では、東京商工会議所文京支部と連携し、創業に関する相談窓口を設置しているほか、創業支援セミナー個別相談会中小企業支援員による訪問相談を実施し、横断的な支援体制を構築しており、近年の創業支援事業の利用者数及び区内の創業者数は、共に増加しております。今後も、関係機関との連携により、創業者が抱える課題の解決に向けたアドバイスや関連支援機関の紹介等、創業者に対する支援を多角的に行うとともに、更なる体制の強化に努めてまいります。

10.危険なブロック塀、擁壁の安全対策について

区長:区有施設のブロック塀等の対策について、最優先として対応する7施設のうち、4施設は改修が完了し、残りの3施設についても、本年度内の改修に向けて着手しております。通学路のブロックについては、危険度がC判定のブロック塀に対し、昨年度中に職員が訪問し、所有者等に塀の状況や改修工事費の助成事業等の周知を行い、今後も所有者に対する働きかけを継続し、早期解決に向けた対応策を検討してまいります。


 次に、筑波大学附属小学校と東京大学の塀については、昨年度各校に塀の安全確保について依頼いたしました。前者は工事に着手しており、後者は塀の調査を行い、回収等の検討をしていると聞いております。また、B判定のブロックについては、所有者への周知・啓発を本年4月から44か所実施し、今後も継続し、新たな支援策を現在検討しているところです。


 また、崖等整備資金助成について、所有者が適切に崖や擁壁の維持管理を行えるよう、助成制度の拡充を行ったところです。これらを活用しながら、危険な崖や擁壁の改修を促進してまいります。なお、事業に当たっては、社会資本整備総合交付金を活用しております。

【オリンピック・パラリンピックについて】

1.競技大会の位置付けについて

区長:区政における東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の位置付け等について、東京2020大会は、スポーツだけでなく、文化、教育、経済等の様々な分野において、有形・無形のレガシーを残す大会を目指し、取組を進めております。これまで区は、開催都市の一員として、大会を成功に導く様々な役割を担うとともに、障害者スポーツの普及を含めたスポーツ振興事業文化振興事業ドイツホストタウン事業を主軸に、ダイバーシティ推進の視点を踏まえ、様々な事業を実施してまいりました。


 さらに、現在、難民選手団をホストタウンとして支援することについて、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等の関係機関と協議を進めており、決まり次第、御報告させていただきます。これらにより、国際理解の促進ホスピタリティの醸成多様性の尊重等が区民の確かなレガシーとして継承されるよう、取り組んでおります。区としては、組織委員会、都とともに、オリンピック・パラリンピックを一体の事業として捉え、スポーツ・文化・平和の祭典として取組を進めているところです。

2.平和の祭典について

区長:東京2020大会には、世界中から多くの選手や観客等が来日するため、この大会期間中を、核兵器廃絶への機運を高める好機と捉え、広島市及び長崎市との共催による、原爆と平和に関する展示等を行うことといたしました。現在、平和のレガシーにつながる事業とするため、展示内容等を精査しているところです。また、ローマ教皇の発言について、核兵器のない世界の実現は、人類共通の課題であり、本区においては、恒久平和を願い、平和宣言非核平和都市宣言を行っており、戦災・原爆資料展巡回原爆写真展等の平和事業を毎年開催するなど、周知・啓発に努めております。さらに、東日本大震災の被災地については、区として、職員を派遣するなど、引き続き、復興に向けた支援を行ってまいります。


 次に、原爆死没者慰霊碑について、広島市は、碑文の趣旨を正確に伝えるため、日本語や英語等の説明板を設置し、「碑文は すべての人びとが 原爆犠牲者の冥福を祈り 戦争という過ちを再び繰り返さないことを誓う言葉である 過去の悲しみに耐え 憎しみを乗り越えて 全人類の共存と繁栄を願い 真の世界平和の実現を祈念するヒロシマの心がここに刻まれている」と記しており、この趣旨を尊重したいと考えております。なお、核兵器禁止条約について、本区は、世界の各都市が連帯して核兵器廃絶を目指す平和首長会議の一員として、行動計画に基づき活動しております。その取組の一つとして、昨年10月、日本政府に対し、核兵器禁止条約の署名が、既に79か国、批准が33か国に及んでいる今、一刻も早い核兵器禁止条約への署名・批准を強く要請したところです。

3.聖火リレーについて

区長:東京2020大会への区民参画における、聖火リレーについて、多くの区民が聖火リレーを楽しみ、心に残るイベントとなるよう、沿道での応援ミニセレブレーション区独自の記念イベント等について、都の聖火リレー実行委員会等と連携して取り組んでまいります。


 また、沿道警備応援サポートセレモニー等の運営ボランティアを広く区民から募り、区民と一体となって聖火リレーイベントを作り上げてまいります。さらに、聖火リレーが区民一人一人の記憶に残るよう、現在、企画・調整を進めているところであります。

4.熱中症について

教育長:オリンピック・パラリンピック競技観戦における熱中症の対策及び引率協力について、熱中症対策については、都教育委員会とも連携しながら、水分の補給冷却材の活用など、予防に向けた対策を進めております。また、引率については、教職員に加えて、指導員等も適切に配置し、子どもたちの安全確保に十分配慮してまいります。

5.機運醸成の事業等について

区長:東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の事業における、機運醸成の事業等について、区では、これまで、スポーツ文化国際交流等、様々な分野において、施設改修を含む延べ300以上の事業を、約50億円の経費で実施してまいりました。


 これらの取組により、国際理解の促進多様性の尊重ホスピタリティの醸成等が、区民の貴重な財産として着実に育まれていると考えております。大会本番となる来年度は、聖火リレーイベントドイツ人アスリートとの交流2020インターナショナル小倉百人一首かるたフェスティバルなど様々な事業を展開し、東京2020大会が、区民にとってかけがえのないレガシーとなるよう取り組んでまいります。その他にも、現在、企画・調整を進めているところであり、記念植樹等やモニュメント等についても検討を進めてまいります。

6.市民マラソンについて

区長:レガシーとしての市民マラソンについて、区内では、青少年健全育成会など、地域住民が主体となって、交通管理者である警察や各関係機関の協力を得ることで、マラソン大会が開催されております。御提案の市民マラソン大会についても、地域住民が主体となり、関係機関等の御理解を頂くことで、開催へとつながるものと考えております。こうした地域の主体的な活動は、地域コミュニティ全体の盛り上がりにもつながることから、新たなマラソン大会が実施されることとなった場合には、区としても後援などの支援を行ってまいります。

【外国人との交流等について】

1.外国人観光客との交流について

区長:外国人観光客の対応について、昨年10月より、本区に訪れる外国人観光客に対し、区民ボランティアによる英語を中心とした観光案内を行っております。留学生による観光案内は、外国人観光客に安心感を与えるとともに、更なる観光案内の充実に資すると考えられることから、留学生受入期間と連携した取組について検討してまいります。また、外国人住民による本区の魅力発信ですが、外国人住民や観光客の視点による情報発信は、本区の魅力を世界に広く伝える上で大変有効であるため、その手法等について検討してまいります。


 なお、国際交流事業について、区内の日本語学校と連携して、国際交流フェスタや留学生との交流会を開催するほか、本区にあるペナン大使館との交流事業等、区民と外国人の交流促進に努めてまいりました。今後も、現在の取り組みの充実と、留学生と区民が魅力を感じる交流事業について、検討を進めてまいります。

2.外国人の日本語指導について

区長:区内外国人の人口増加に向けた対策について、外国人の地域への参画は、地域コミュニティの活性化のためにも重要であると認識しており、これを促すためには、外国人の地域への理解を深めることが必要であると考えております。これまでも、地域やまちづくりへ参画するきっかけとして、留学生と区民との交流会国際交流フェスタ等を実施してきたところですが、今後は、町会等のイベントを外国人にも案内するなど、交流のきっかけづくりを進め、地域の様々な場面での参画を促していきたいと考えております。


 また、日本語教育に対する支援については、現在、区内ボランティア団体が実施する日本語教室の周知を行っております。なお、補助金等を活用した日本語教育環境の整備については、国の動向を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。




教育長:日本語指導について、日本語の使用が難しい外国籍の児童・生徒については、年間60時間を上限に、在籍校に日本語指導協力員を派遣し、日本語の指導を行っております。また、更に指導が必要と判断される場合には、状況に合わせ、指導時間数を増やすなど、個に応じた対応を行っております。日本語指導協力員につきましては、区内大学の国際センターとも連携し、人材の確保に努めております。今後とも、大学との連携により、質の高い人材の確保に努めてまいります。


 また、「やさしい日本語」や独自の教材音声翻訳機などを導入することにより、指導の充実を図ってまいります。なお、現在のところ、謝礼の増額は考えておりませんが、1回の派遣で複数の児童・生徒を指導できるよう工夫しており、効率よく勤務できるよう配慮しております。さらに、外国籍の子どもへの日本語指導の現状と取組について、日本語指導協力員を派遣した児童・生徒は33名おり、5年前と比べて14名増加していることから、日本語指導の必要性が高まっていると認識しております。引き続き、児童や生徒が円滑な日常生活を送れるよう、一人一人の日本語習得や学校生活の状況等に応じて、配置する時間数を考慮するなど、適切に日本語指導協力員を派遣してまいります。また、学校生活に関する情報提供など、保護者の支援につきましても、NPOや地域の団体等との連携も視野に入れ、取り組みを進めてまいります。

3.外国籍児童の就学状況と国際学級について

教育長:外国籍の子どもの就学状況調査について、就学年齢に達しているが区立学校に在籍していない児童・生徒については、就学の状況を把握するため、住民記録や、在籍状況、今年度の新入学の実績などに基づき、調査の準備を進めているところです。調査の際には、学生証の写し等、就学が確認できる書類の提出を求めるとともに、区立学校への入学の意識確認も行ってまいります。なお、区立学校への入学希望者を把握するため、就学年齢にある外国籍の児童・生徒についても、就学の意思を確認しております。


 次に国際学級の設置等について、国際学級については外国籍の児童に多様な教育の機会を提供するために設置しているものと捉えております。本区においては、具体的な判断基準はございませんが、今後も、国際学級を開設している区市町村の動向を踏まえて研究してまいります。


 また、公立の小・中学校では、各教科・領域等の内容や時間数が決められているため、国際バカロレアの全面的な導入は困難であると認識しております。しかしながら、グローバル人材育成の観点や探求的な学びの重視など、新学習指導要領の理念に通じるところも多くあることから、国際バカロレアの趣旨を、総合的な学習の時間や教科等の学習に生かしていく手法について、さらに研究してまいります。なお、1B資格については、東京都教職員センターにおいて、都立高校の教員向け研修が始まっておりますので、情報を収集してまいります。


 次に、お茶の水女子大学附属小学校「てつがく」科との連携について、道徳の時間と他教科との関連を図り、対話や記述などを通して,互いの考えを聴き合い、自ら問い直し考え続ける言語活動を重視した教科であると捉えております。本区では、学習指導要領に基づき、道徳性を養うため、道徳的な判力、心情、実践意欲と態度を育てる学習活動を展開しておりますが、今後も、道徳化の授業の充実に努めるとともに、「てつがく」科との連携について、引き続き研究してまいります。

4.在留外国人支援と多様性の尊重について

区長:在留外国人の増加傾向については認識しており、各手続窓口においては、タブレット端末を活用した言語対応のほか、多言語化サポート事業による申請書類等の多言語化を進めており、手続がスムーズに行えるよう配慮しております。また、外国人の日常生活に関する相談は、行政情報センターの区民相談窓口において、通訳クラウドサービスを活用しながら対応し、必要に応じて、国等が設置する外国人相談窓口を案内しております。保育園や学校等の生活・学びの場では、言語対応のほか、宗教観や文化の違いに伴う対応を求められることがありますが、その都度柔軟に対応しております。現在、各所管において必要な対応と支援を行っていることから、専任担当等の設置については、今後の外国人の増加等の動向を注視してまいります。今後も、文化的で豊かな共生社会の実現に向け、文化や習慣が異なる外国人住民を抱える課題に適切に対応し、安心して生き生きと暮らしていけるよう支援してまいります。

【その他】

1.ジェンダー平等の実現と女性の貧困問題について

区長:ジェンダー平等の実現について、男女平等参画推進計画に基づく様々な事業を実施し、男女平等参画社会の実現に向けた取組を着実に進めていくことが、SDGsの目標の達成に重要であると考えております。目標の実現に向けて、UN Women日本事務所や、文京区女性団体連絡会を始めとする関係機関が持つ知見や資源を活用しながら、女性に対する暴力撤廃女性活躍を推進するための様々な事業を推進してまいります。


 次に、働く女性の現状について、国勢調査の結果では、本区の子どもを持つ女性の就業率は、平成17年から27年までの10年間で、ほぼ横ばいの状況です。しかしながら、生活様式や世代間の考え方の違いなど、本区の働く女性の状況については多種多様であることから、一律に類型化することは困難であると認識しております。また、女性職員の割合等について、本年4月1日現在、区職員全体に占める女性の割合は58.9%、女性職員のうち、非正規雇用の割合は50.5%区管理職に占める女性の割合は12.0%となっております。管理職選考における女性職員の受験率向上につきましては、管理職から対象者に対して積極的な勧奨に努めているところです。なお、賃金や処遇における男女差はありません。さらに、審議会等における女性委員の占める割合は、本年3月31日現在、32.2%です。審議会等の目的・性格に応じて、女性委員を積極的に登用するとともに、女性委員の登用がない審議会等については、その状況を解消するよう努めております。加えて、関係団体へ委員の推薦を依頼する際には、女性委員の推薦についての呼び掛けや依頼文書の送付を行うなど、引き続き、男女平等推進計画に掲げる目標値の達成に向けた取組を進めてまいります。


 次に、女性に対する就学・就職差別に関する調査について、就職における採用選考は、資格保有等の要件を除けば、全ての応募者に就職の機会均等が確保され、人権を尊重した、公正かつ適正なものでなければならないと考えております。区としては、ハローワーク飯田橋等との共催により、就職差別解消促進月間である6月に、事業主や人事対象者を対象とした研修会を行い、就職差別の解消に努めております。加えて、本年度は、都や東京労働局との共催により、就職差別解消シンポジウムを開催し、公正な採用についての啓発も行いました。


 次に、貧困に陥りやすいひとり親家庭への支援について、本区では、就職に結び付く資格を取得するための支援策として、母子家庭及び父子家庭を対象に、自立支援教育訓練給付金高等職業訓練促進給付金を支給しております。また、離婚によりひとり親となる方に対しては、養育費や面会交流等の取決めについて、「子どもの最善の利益を守る法律専門相談」などを御案内し、支援しております。今後とも、関係機関での情報共有に努め、連携を強化し、取り組んでまいります。なお、児童扶養手当と公的年金との併給について、当該手当の支給につきましては、引き続き、根拠法に基づき、実施してまいります。

2.ビッグデータの活用について

区長:区では、これまでも、パーソナル・ヘルス・レコード基盤とのデータ連携を前提に、がん検診システム、母子保健システム等の導入に取り組んでまいりました。また、データヘルス計画の策定に当たっては、国保データベースシステムを活用したデータ分析の結果から、人工透析患者が増加傾向にあることや、ジェネリック医薬品の使用率が低いことなどが課題として明らかになったところです。


 こうしたことから、本年度より、人工透析患者の抑制に向けた糖尿病性腎症重症化予防事業を開始するとともに、ジェネリック医薬品差額通知の送付回数を増やすなど取組を強化し、被保険者の健康増進及び医療費の適正化を図ってまいります。

3.指定管理者制度について

区長:指定管理者制度について、利用料金制を導入している施設においては、利用料金が指定管理者の収入となるため、指定管理者の創意工夫が広がるとともに、コストの効率化区民サービスの向上につながることが期待されます。このため、指定管理者のインセンティブを削ぐことのないよう、利益還元の明確な基準をガイドラインで定めております


 また、区からの指定管理料については、指定管理者選定の際に提出される収支計画書や、前年度の事業を評価する際に提出される収支報告書において、その妥当性正当性を判断しております。今後も引き続き、適正な指定管理者制度の運用に努めてまいります。


 次に、指定管理者等の労働環境について、区では、指定管理者や受託事業者に対し、社会保険労務士による労働条件モニタリングを実施し、労働条件や労働環境の改善に向けた取組を行っております。今後も、こうした取組を進めながら、民間事業者の活用に適した業務に、指定管理者制度や業務委託を導入することで、専門的な技術や知識等を活用するとともに、適切な管理・監督を行い、効率的で質の高いサービスを、区民に安定的に提供してまいります。


 また、受益者負担の適正化については、財政状況に左右されるものではなく、行政サービスを利用する人としない人との間における負担の公平性を考え、受益者の方に適正な金額を負担していただくものです。なお、受益者負担の適正化については、社会経済の動向や行政サービスの利用状況等を踏まえ、検討してまいります。

4.自転車の保険について

区長:自転車利用者の保険について、区では、交通事故及び自転車損害賠償責任に対応する保険として、区民交通傷害保険を募集しており、加入促進のために、多様な手段によりPRしております。来年度の保険加入募集に当たっては、都条例の改正を受け、リーフレットやポスターに、「重要なお知らせ」として、自転車保険加入の義務化について記載するとともに、区報やホームページのほか、文京区町会連合会への説明など、きめ細かな周知を図っております。また、本年度より、自転車損害賠償責任保険が付帯された自転車TSマーク取得費用助成を行っております。自転車損害賠償保険等への加入に当たっては、既に加入している保険の補償内容と重複しないよう注意喚起を行いながら、更なる意識の向上と加入促進に努めてまいります。

5.都市計画道路環状三号線について

区長:環状三号線について、都、特別区、26市2町で構成する協議会において、平成28年3月に策定した、東京における都市計画道路の整備方針で、道路整備の必要性が確認されております。現在、都では、区内の環状三号線における整備形態等の検討を進めていると聞いております。本区への影響も極めて大きいことから、地域と区民の理解が得られる計画にしていく必要があり、区としても慎重に対応すべきものと考えております。

6.道路整備について

区長:道路のバリアフリー整備の進捗等について、区では、バリアフリー基本構想に基づき、生活関連経路の一時経路と歩道のある二次経路を合わせた13.7キロメートルに対し、バリアフリー整備を進めております。進捗については、平成29年度より、年間約350メートルずつ整備を進めており、本年度末までに、対象路線の約8%の整備を完了する予定となっております。また、点字ブロックの整備状況については、交差点や横断部への設置は完了しているため、現在は、それらを結ぶ連続した点字ブロックの整備を進めております。なお、点字ブロックの形状については、JIS規格により定められているため、改良することはできませんが、材質については、従来よりも滑りにくい製品が開発されているため、積極的に採用しております。


 次に、透水性舗装について、区では、神田川流域豪雨対策計画に基づき、高台の区道における透水性舗装や雨水浸透ますの整備のほか、学校や公園等の公共施設や、民間の中高層建築物等への貯留浸透施設設置の推進流域対策を進めており、令和19年度までの計画目標に対し、平成30年度末時点で、約6割の達成率となっています。流域対策は、総合的な対策であるため、透水性舗装のみの整備に係る経費は算定できませんが、一般のアスファルト舗装と比較して、工事費は5%程度の増となります。また、透水機能を維持するための機能回復清掃については、年間4,000万円程度の経費を見込んでおります。今後も、雨水の流出による浸水被害の 防止・軽減を図るため、透水性舗装の整備を含めた総合的な流域対策をしてまいります。

7.地下調節池について

区長:防災における地下調節池について、地下調節池の操作やその判断基準等については、都河川管理施設操作規則に定められており、区は、都に対して神田川の水位等の情報提供や意見を伝えておりますが、最終的な取水操作の判断は都が行うこととなります。また、新たな地下調節池として、都において、既に整備されている神田川・環状七号線地下調節池と白子川地下調節池を連結する環状七号線地下広域調節池の整備を進めており、令和7年度までに稼働予定と聞いております。この整備が完了すると、流域間での相互融通により、現在54万立方メートルの貯留量が、約143万立方メートルとなり、一時間当たり100ミリの集中豪雨にも効果を発揮するとされております。

8.プラスチック廃棄物について

区長:脱プラスチック等の対策について、プラスチック廃棄物の発生抑制を推進するため、文京ecoカレッジで開催している公開講座等で啓発を行うほか、各種広報媒体を使い、区民・事業者等に対して、適時情報を提供しております。また、レジ袋の原則有料化については、文京区商店街連合会等を通じて、小売業者への周知を図るとともに、区民に対しては、イベント等を通じたマイバック持参の呼び掛けを更に強化するなど、対応してまいります。


 今後は、現在改定を進めている一般廃棄物処理基本計画に、区民のライフスタイルの変革を促し、脱プラスチックを推進するための取組を盛り込むよう、検討してまいります。なお、区においても、区主催の会議でマイボトル持参を呼び掛けるなど、脱プラスチックの推進に努めてまいります。


次に、プラスチックごみについて、削減や処理方法は国際的な課題でもあり、国や都の動向を注視する必要があります。本区としては、排出抑制の「リデュース」を徹底し、さらに「リユース」と「リサイクル」への取組強化を念頭に、次期「一般廃棄物処理基本計画」改定の際に、検討を行ってまいります。