令和6年2月定例議会一般質問要旨
令和6年2月定例議会一般質問要旨
令和6年 2月15日
自民党・無所属会派
文京区議会議員 浅川 のぼる
まず初めに、令和6年能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた方々に、心よりお見舞い申し上げます。また、地震や津波、土砂崩れや火災等による行方不明者の捜索をはじめ、倒壊した家屋や崖崩れによる道路の通行止めなどの復旧作業に携わっている皆様に、敬意を表しますとともに、心より感謝を申し上げます。一日も早い地域の安全・安心な生活の確保とまちの復旧・復興を願っております。
自由民主党文京区議会の 浅川 のぼる です。会派を代表致しまして、質問をさせていただきます。区長、教育長には、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。
初めに、「旧元町小学校の整備と元町公園との一体的活用事業」についてお聞きします。
旧元町小学校の跡地にできる保全施設及び活用施設の建物は、昔の校舎のイメージに近づけた計画で、活用施設には、近隣4町会の避難所としての機能が入ります。元町公園の整備工事では、壁泉やカスケード、パーゴラや滑り台、砂場など、公園の歴史的な特徴のある意匠を残す計画となっています。これまで区民からの様々な要望や近隣7町会との意見交換において、それらのご意見を十分検討し設計に反映していただけたものと評価します。現在、令和7年度の開設に向けて工事を進めているところですが、保全施設及び活用施設の工事のスケジュールは予定通り進んでいるのでしょうか。また、解体作業や建築工事に使用する大型車両の通行により道路が損傷した件で、早急に対処したと伺いましたが、その後は問題は出ていないのでしょうか。
今回の小学校の改修工事に併せて敷地の東側と西側の老朽化した道路の改修や、狭かった歩行者用道路の拡張も検討するとのことでしたが、その後の検討状況について伺います。また、医療的ケア児支援事業において、小学生も預かることで事業者と協議を行っていると伺いました。運営時間については夕方まで預かることが可能なのでしょうか。また、児童の送迎も行う方向で進んでいるのでしょうか。
さて、工事期間中の万が一の発災において、4町会がそれぞれ代替避難所に移ることになりますが、受け入れ先の本郷小学校や教育センターにおける他町会との調整ができているのか伺います。そして、2月18日に行われる本郷小学校の避難所総合訓練には代替の町会も加わるのでしょうか。また、発災に備えた避難所運営マニュアルの作成を、今後どのように進めていくのか伺います。なお、来年4月からの、地域の方々に開放する部屋や園庭部分、大学所有の体育館等の具体的な貸し出し方法の調整が、どこまで進んでいるのかお尋ねします。
施設名称について、年明けからアンケート調査が実施されましたが、アンケート結果を受けて、どのように判断し名称を選別していくのか、その手順について詳細を伺います。また、湯島幼稚園移転後の区立認定こども園の名称についても、どのように名称を決定するのか伺います。
ところで、元町公園の整備工事ですが、令和7年度の完成予定と伺いました。地域としては早期の開園を心待ちにしており、なるべく早く具体的な開園予定が地域に情報共有されることを期待しています。そして、元町公園がリニューアルされた際に、震災復興公園の再整備としてさらに注目されると思いますので、災害にも強い公園としてアピールしていただきたいと以前から申し上げております。本整備工事においては、旧元町小学校の活用施設の建物の一部が避難所となりますので、元町公園との一体的活用事業として、地域における防災力強化という特徴を持ち合わせます。災害時に実際に対応できる公園をめざし、整備していることを評価します。青少年や町会等の団体が、日常でも気軽に活用できるようにすることが大切です。発災時において、すぐに必要な機材が使用できるように、旧小学校と公園を一体的に活用した運営を想定した訓練も必要ですが、如何でしょうか。また、火の使用などを近隣住民と協議しながら、区民にとって活用しやすい公園となることを期待しております。
区長:最初に、旧元町小学校と元町公園との一体的活用事業に関するご質問にお答えします。まず、保全施設及び活用施設の整備工事の進捗についてのお尋ねですが、工事業者との定例会議において、工程の確認や、施工段階における仕様の協議等を行うとともに、近隣町会等のご意見を丁寧に伺いながら、本年12月の竣工に向け、着実に工事を進めているところです。引き続き、近隣への影響等に配慮しながら、安全に工事を進めてまいります。
次に、道路の損傷についてのお尋ねですが、大型車両の通行による道路の損傷について、近隣町会長からご連絡をいただいた後、早急に工事業者と協議を行い、復旧を図ったところです。復旧後は、道路巡回により状況を把握しており、その後の道路損傷は確認されておりません。
次に、敷地東側及び西側道路の改修等についてのお尋ねですが、敷地東側及び西側の区道については、老朽化した舗装や側溝、防護柵等の整備を計画しており、今後、一体的活用事業の進捗状況を踏まえ、整備してまいります。また、敷地東側については、道路改修にあわせ、道路と敷地との段差を解消し、歩行空間を広く確保できるよう、工事業者と、工程や側溝の仕様等に関する調整を行っております。引き続き、近隣町会の意見も踏まえながら、施設開設に向け、検討を進めてまいります。
次に、保全施設での医療的ケア児支援事業についてのお尋ねですが、本事業が、医療的ケア児の交流活動の場として利用しやすいものとなるよう、現在、事業者と事業内容等の協議を行っているところです。現時点では、1歳から小学校3年生までの児童を対象とし、車両による送迎を行う予定としております。また、運営時間については、引き続き協議してまいります。
次に、旧元町小学校工事中の代替避難所についてのお尋ねですが、既に、工事期間中の受け入れ先となる避難所運営協議会等との調整を行っており、今週末の本郷小学校避難所総合訓練には、代替避難所として割り当てられた町会が参加する予定です。また、施設整備後の避難所としての活用については、避難スペースとして想定される諸室の具体的な利用条件等について、事業者等を含め、検討を進めているところです。これからの検討を踏まえ、来月には、避難所として指定する町会の方も交えた協議を開始し、避難所運営協議会の設置や避難所運営マニュアルの作成等について検討を進めてまいります。
次に、施設の貸出方法についてのお尋ねですが、現在、近隣町会との意見交換や事業者との協議を行いながら、多目的室の附帯設備や認定こども園の園庭のほか、事業者が所有する体育館等についての具体的な運用方法の検討を進めております。引き続き、区民にとって利用しやすい施設となるよう、協議を進めてまいります。
次に、施設全体の名称についてのお尋ねですが、旧元町小学校の整備後の施設名称等については、区と事業者において検討を進めており、現在、地域の方々に対しても、いくつかの案をお示しし、アンケート調査を実施しているところです。今後、アンケート結果も踏まえ、近隣町会等と意見交換を行い、施設名称等を決定してまいります。
次に、旧元町小学校と元町公園での一体的な防災訓練についてのお尋ねですが、元町公園については、避難所機能を補完する場所として防災設備を設置し、避難所となる施設と一体的に活用できる計画としていることから、避難所運営訓練等においては、園庭や公園のスペースを利用した、防災資機材での炊き出し等の実施を想定しております。
教育長:教育に関する質問にお答えします。はじめに、移転後の湯島幼稚園の名称についてのお尋ねですが、現在、令和7年4月の幼稚園型認定こども園開設に向け、条例の制定、認定こども園法に基づく認定申請及び、学校教育法に基づく位置等の変更の届出準備を進めております。今後、これらの手続きのなかで、認定こども園の名称についても確定していくことになりますので、地域や保護者、園などの意見を伺いながら整理してまいります。
次に「湯島総合センター改築等に係る活用案と整備方針」についてお聞きします。
湯島総合センターは、湯島幼稚園等が入る建物で、全体的にかなり老朽化しておりますが、地域のニーズに適した使い勝手の良さを兼ね備えた複合施設として、地域の皆さんに愛され大事に利用されてきました。1・2階は文京区シルバー人材センター、文京区立湯島幼稚園が入り、3階は主に湯島福祉センターとなっています。中でも、ここの浴室は高齢者にとっての憩いの場となっており、とても人気の高い施設となっております。4階は湯島図書館で、5階は湯島児童館と育成室が入っています。現況、5階建ての建物に対して、建替えにより、倍以上の建築物が建てられると聞いています。いろいろな可能性を持つ区有施設ですので、しっかりと地域の要望を踏まえた施設として、有効活用をしていただきたいと願っております。
また、これまで、地域の声を丁寧にお聞きしていることを評価します。令和5年6月から地域等で意見交換会が6回行われ、11月から2月にかけてサウンディング調査が行われ、地域の声や民間事業者の意見を聞いてきたと伺っております。区は今後の長期的利活用の観点から、建替えをする予定です。なお、導入機能の可能性として、学習機能、子育て支援、高齢者福祉などの現行機能を基本とし、複合化・多機能化等による地域コミュニティ醸成などにも寄与する施設を考えているようです。地域住民のいろいろな意見としては、なかなか予約が取れない体育館や区内に数少ない人工芝の屋根付き球技場にしてはどうか、あるいは災害時の避難所機能を持った施設、防災を意識した広場やドッグランの設置、また、アカデミー湯島の機能をこちらに移行する考え方や、切通公園で受け入れられたボール遊びができる場所の確保など、いろいろな可能性があるのも区有地だからこそのメリットです。具体的にどのような意見が地域や事業所から出ているのか伺うとともに、どのような施設を導入していくお考えかお尋ねします。また、様々な機能の導入が予想されるため、分かりやすいイメージを共有していくことや、施設全体の管理をどうしていくのかが重要と考えますが、現時点での方向性と整備に向けての今後のスケジュールを伺います。
区長:次に、湯島総合センターの改築等に関するご質問にお答えします。まず、地域や事業者からの意見及び導入機能についてのお尋ねですが、近隣町会及び利用団体代表者との意見交換会においては、既存施設のスペースの狭さや機能不足に対して充実を求める意見のほか、世代間交流や様々な利用者の活動を生み出す機能を求める意見等をいただいたところです。導入機能の検討にあたっては、既存施設の充実とともに、全天候型の遊び場等の新たな機能のほか、湯島小学校に併設されているアカデミー湯島の移転による生涯学習機能等についても検討してまいります。さらに、民間事業者に対するサウンディング調査においては、運営者の創意工夫を発揮するには、施設設計段階から運営者の視点を取り入れることが重要となるなどの意見があり、こうした意見も踏まえながら、今後、整備手法の検討を進めてまいります。
次に、イメージの共有や今後のスケジュール等についてのお尋ねですが、議員ご指摘の通り、本施設には、様々な機能の導入を想定していることから、わかりやすいイメージを共有することは重要と考えております。他自治体においては、VRを活用し、複雑な設計や計画を立体的に可視化することによって、計画に関わる様々な立場の方々とイメージを共有している事例もあり、このような事例も参考に、設計段階におけるイメージの共有手法について、検討してまいります。また、施設全体の管理のほか、様々な機能を担う事業者間の連携が図られることも重要であると捉えております。引き続き、導入機能や最適な管理手法等について整理し、近隣町会及び利用団体代表者と意見交換を行いながら、整備方針の策定に向けた検討を進めてまいります。
次に「児童・生徒への不登校支援の在り方といじめ防止対策」についてお聞きします。
令和4年度の全国の小・中学校における不登校児童・生徒数が約30万人となり、そのうち、学校内で相談や指導等を受けていない小・中学生は約11万4千人で、いずれも過去最高となりました。また、いじめ重大事態の発生件数は764件で、こちらも過去最高となりました。そこで、文科省は深刻な状況を受け、誰一人取り残されない学びの保障に向けた取り組みとして、不登校・いじめ緊急対策パッケージを取りまとめました。文科省が発表した不登校に関する調査によれば、不登校の理由をいじめと捉えるかどうかについて、学校側と当事者側で食い違うこともあるようです。重大事態のいじめを見逃さないようにするため、文京区では、どのように対応しているのか伺います。また、令和4年度の文京区における不登校児童・生徒は小学生が173名、中学生が183名と伺っておりますが、学びの居場所架け橋計画やその他の不登校支援に関する施策について、これまでの成果と課題についてお伺いします。
先日、不登校児童支援の在り方に関する調査・研究で、兵庫県立神出学園を視察しました。ここは全寮制のフリースクールとして30年ほど前に設立し、自然豊かな環境の中で自分を見つめ、自分の生き方を発見するための施設です。そこで目を引いたのが、教務スタッフや心理カウンセラーをはじめ、医師や看護師、生活指導員によるカウンセリングなど、多彩な分野の専門スタッフが知恵を出し合って支援の方向性を共有することで、一人ひとりに対して的確に寄り添う支援を行っているという点です。不登校支援も、まさに状況に見合った実践的な対策となっており、その成果も顕著に表れています。文京区においては、多彩な分野の専門スタッフによる的確な支援を、どのように行っているのか伺います。
次に、文京区の小・中学校における児童・生徒のいじめ防止対策に関する施策について、これまでの成果と課題をお尋ねします。また、文科省の不登校・いじめ緊急対策パッケージを見据えて、今後どのように施策を展開していくのか、その詳細についても伺います。
先日、子どものいじめ防止対策に関する調査・研究で、大阪府寝屋川市も視察しました。ここで目を引いたのは、いじめを人権問題として捉え、行政が積極的に関与することで、全てのいじめを1か月以内に停止させていることです。これは、学校や教育委員会による人間関係の修復とは別に、児童・生徒をいじめの被害者・加害者と定義し、市長部局の監察課が第三者として関与することで抑止力となり、さらに、月1回の小・中学校の全児童・生徒へのいじめ通報促進チラシの配布による情報収集も、抑止効果をあげています。このように第三者が介入することで、早期解決につなげている複数の自治体の成功事例を目にしますと、とても参考になる対処方法だと実感しています。準備期間7か月で条例化までこぎつけた寝屋川市のスピード感を持ったこの施策を参考にするため、多くの自治体が視察に訪れているそうです。文京区のいじめ防止対策として何か参考になるのではないかと思いますが、区の見解をお尋ねします。
区長:次に、いじめ防止対策についてのご質問にお答えします。区では、子どもを権利侵害から守るため、いじめを含む様々な困難や悩み事を抱える子どもが、必要な時につながることのできる窓口として、子ども応援サポート室や「子どもの最善の利益を守る法律相談」を実施し、子どもに寄り添った支援を行っております。区と教育委員会は、いじめ防止対策推進基本方針に基づき、いじめ問題対策協議会において、いじめにかかわる事案について情報を共有しております。さらに、いじめの重大事態が発生した場合は、教育委員会より報告を受け、内容を確認し、適切な対応に努めております。引き続き、いじめの未然防止、早期発見、早期解決に向け、教育委員会との連携を密にしてまいります。なお、議員ご提案の内容については、先行自治体の事例を参考にしながら、今後研究してまいります。
教育長:次に、重大事態のいじめを見逃さない取組についてのお尋ねですが、学校では児童・生徒に寄り添い、丁寧に声を聞き取るように努めております。また、軽微ないじめも見逃すことがないよう、各学校は教育委員会に、毎月、いじめに関する情報を報告しており、教育委員会では適時助言等を行っております。さらに、学校を含む、子どもにかかわる関係機関が情報交換や情報共有をし、連携を密に行い、いじめの早期発見に努めております。引き続き、全教職員がいじめや不登校等についての理解を深めるとともに、児童・生徒に寄り添った指導を行い、いじめを見逃すことがないよう努めてまいります。
次に、不登校支援に関する施策についての成果と課題についてのお尋ねですが、「学びの居場所架け橋計画」として、令和5年4月からモデル校7校で開始した、校内別室での指導については、10月から3校拡充し、全10校で実施しています。2学期末現在、合計79名の児童・生徒が利用しております。また、NPOと連携したオンラインシステムによる支援については、2学期末現在、6名が利用しています。この他にも、本年度から、スクールソーシャルワーカーを増員し、週1日の配置を区立小・中学校20校まで拡充し、学校における児童・生徒への支援を強化しております。さらに、教育センターでは、保護者の支援として、ふれあい教室の保護者会において、不登校を経験した方の体験談を聞く機会を設けました。そのほかにも、総合相談室を利用中の保護者を対象とした「不登校・登校しぶりを考える保護者の集い」を開催しました。あわせて、現在教育センターを利用していない方も対象にした進路説明会を開催しております。一方、課題としては、不登校の背景は児童・生徒によって異なり、多様化していることから、一人一人に相応しい支援を行うとともに、保護者への支援を手厚くすることが求められています。このため、来年度は、子どもの学び支援事業として、学びの居場所架け橋事業の対象を2校拡充するとともに、スクールソーシャルワーカーの全区立小・中学校への週1日の配置を進めてまいります。加えて、進路説明会をより参加しやすい時期や回数で実施してまいります。
次に、多彩な分野の専門スタッフによる不登校支援についてのお尋ねですが、スクールカウンセラーの全校配置や、スクールソーシャルワーカーの増員及び配置校の追加を行い、不登校対応に関する校内委員会において、教員との情報共有を進めております。また、必要なアセスメントや手立ての検討など、多職種で連携しながら支援に努めております。ふれあい教室においては、教員免許を持っている専門指導員、心理カウンセラー、心理学を学んでいる大学生及び大学院生が、学習指導や体験活動、相談などの日常的な関わりを通して児童・生徒の支援を行っています。加えて、民間フリースクールとの連携により、ソーシャルスキルトレーニングや職業体験を実施するなど、多彩な知識・経験のある職員等による支援を行っております。
次に、いじめ防止対策の成果と課題についてのお尋ねですが、「文京区いじめ防止対策推進基本方針」に基づき、早期発見に向けたアンケートの実施や、スクールカウンセラーを活用した相談を行っております。また、教職員の組織対応を向上させるため、学校いじめ対策委員会を設置するとともに、教職員の研修を実施しております。さらに、弁護士等による「いじめ防止授業」の実施や、「いのちと人権を考える月間」の中で、子どもたちが自尊感情や自己肯定感を高め、自分や他者の命や人権を大切にしようとする態度を育んでいます。成果としましては、アンケートや教育相談の充実などによる見取りを細かく行うことで、学校の積極的ないじめ認知につながっていることなどがあげられます。課題としては、いじめの態様が複雑化し、解決するまで時間を要することがあります。引き続き、丁寧な対応に努め、解決に向け、学校と教育委員会、関係機関が連携してまいります。
次に、不登校・いじめ緊急対策パッケージを見据えた今後の施策展開についてのお尋ねですが、国から示された不登校・いじめ緊急対策パッケージの内容も踏まえ、不登校やいじめ等の未然防止や早期発見のため、様々な専門家・専門機関との協力のもと、児童・生徒との関わりを強化してまいります。そのため、スクールカウンセラーの全校週3日の配置に加え、先程、ご答弁申し上げた通り、来年度からはスクールソーシャルワーカーを全区立小・中学校に週1日配置することにより、いじめ・不登校を生まない教育環境を整えてまいります。
次に「児童相談所と子ども家庭支援センターの運営体制と現在の地域連携体制」についてお聞きします。
令和7年4月の文京区の児童相談所開設にあたり、東京都との業務内容の確認作業を進めていると聞いており、開設に向けて業務のシミュレーションを行いながら、部門ごとのマニュアルの整備などを進めていると伺いました。昨年度、我が会派からの一般質問に対するご答弁で、文京区の児童相談所と子ども家庭支援センターにおける基本的な業務の違いについて、児童相談所は、専門性の高い指導や一時保護などの緊急的な対応、他の自治体との広域調整等を行う機能を持ち、また子ども家庭支援センターは、地域に根差した相談機関として、子どもと家庭に関する総合相談事業を行う機能を持つというお答えがありました。
その後、区児童相談所の開設準備とともに、地域に根差す子ども家庭支援センターの機能強化を行うにあたり、子ども家庭支援センターの業務内容にはどのような変化が生じていくのか、その詳細について伺います。
今後も、子どもと家庭の複合的な相談内容に対処するためには、関係機関とのより密な連携・協力が必要となります。東京都の児童相談センターから、文京区の児童相談所に業務を移行する際は、しっかりと引き継いでいくための人材確保において、職員課と綿密に調整していると聞いております。以前から要望していた福祉職や心理職等の専門スタッフについても、採用が順調に進んでいると伺いました。これまでの人材確保における実績と、今後の開設後に向けた課題についてお尋ねします。なお、いろいろな分野の専門スタッフによって、一人ひとりに寄り添った的確な支援を行うための体制づくりを、これまで準備してきたものと認識しております。これからの文京区らしい児童相談所の体制づくりを充実させるため、職員方の派遣や研修で得た先駆的な他区の事例などを参考に、今後どのように区児童相談所の準備を進めていくのかについて伺います。
今後の開設に向けて、児童相談所や子ども家庭支援センターをはじめ、関係部署や関係機関、特に主任児童委員や民生委員・児童委員との連携が継続的に図られていくことを期待しています。10数年前になりますが、私も主任児童委員として3期9年、新宿の児童相談センターや子ども家庭支援センターと連携して、児童虐待の問題に係わりました。行政機関の勤務時間外である平日の夜間や休日も、地域の見守りに欠かせないのが主任児童委員や民生委員・児童委員の存在です。主任児童委員として児童虐待などのケースについて活動していた際は、都児相の専門家の指示を中心に対処していました。区における現状の地域連携について伺います。
また、文京区の「ひきこもり支援センター」は相談窓口の明確化と情報の一元化により、必要な支援につなげる体制が構築されたことを高く評価します。学校で不登校になり、その後、長期ひきこもりとなることがあると認識しております。文京区のひきこもり支援体制が構築されてから4年目となりました。これまでの文京区版ひきこもり総合対策では、支援メニューの拡大や各種団体への研修などを取り入れ、就労支援の工夫がなされたと伺っております。今年度の総合対策において、さらに機能の強化を図った点とひきこもり支援の成果についてお尋ねします。
区長:次に、児童相談所と子ども家庭支援センターの運営体制等に関するご質問にお答えします。まず、子ども家庭支援センターの今後の機能強化についてのお尋ねですが、子ども家庭支援センターは、区民にとって、より身近な相談機関となり、育児の悩みを早い段階から支援し、虐待の芽を摘むことができるよう、親子ひろばの相談体制の充実や養育者の育児スキル向上に寄与する取り組みなど、児童虐待の予防的支援をより一層強化してまいります。また、子ども家庭支援センターの心理職による、保育所や幼稚園等の子育て関連施設への巡回相談事業を拡充することで、保育所等職員の支援力向上にも努めてまいります。現在、児童福祉法及び母子保健法の改正を踏まえ、「子ども家庭センター」機能の整備のあり方についての検討を進めており、児童福祉と母子保健との一体的な運営による切れ目のない支援の充実と強化を図ってまいります。
次に、区児童相談所の人材確保の実績と、開設後の課題についてのお尋ねですが、人材確保については、「(仮称)文京区児童相談所運営計画」において、人材確保に係る見通しを示しており、本計画を踏まえた職員数を確保しております。開設後においては、豊富な知識や経験を持つ職員のノウハウが組織内において適切に継承され、児童相談所における専門性の高い対応を継続的に提供できる組織体制を構築することが課題であると認識しております。
次に、これまでの職員の派遣等を踏まえた開設準備についてのお尋ねですが、特別区を含む他自治体の児童相談所への派遣研修により、他自治体との間で、児童相談所運営に資する、忌憚のない情報交換を可能とする関係が築かれております。開設に向けては、「(仮称)文京区児童相談所運営計画」に基づき、都との確認作業を踏まえ、国からの政令指定に必要な手続きを進めてまいります。引き続き、先行自治体から得られた様々な知見を活かし、本区の地域特性に応じた、総合的な相談・支援体制を構築してまいります。
次に、現状の地域連携についてのお尋ねですが、現在、児童虐待や養育の関係で支援が必要な子どもや家庭については、支援関係機関や民生委員・児童委員などが構成員となっている要保護児童対策地域協議会や、民生委員・児童委員協議会の主任児童委員部会において、きめ細かな情報共有と協議を重ねることを通して、地域での連携による支援を行っております。今後とも、子どもの最善の利益を守るため、地域の様々な支援関係機関や民生委員・児童委員等との連携により、子どもに寄り添った相談支援と地域の見守りの強化を図ってまいります。
次に、ひきこもり総合対策についてのお尋ねですが、区では本年度から、アウトリーチサポーター養成研修を実施しており、7人の方に登録していただきました。今後、多様な地域人材を活用することにより、支援の輪を広げてまいります。また、気軽に立ち寄れるカフェ方式の居場所を追加し、参加者の裾野を広げ、社会参加のきっかけとなる支援を充実させております。ひきこもり支援センターでの相談件数は、開設当初に比べ、3倍以上に増えていることから、相談体制の充実を図り、今後もひきこもり当事者や家族の心情に寄り添う総合対策の強化に取り組んでまいります。
次に「10年後のみどりの将来像への取組方針」についてお聞きします。
「文京区みどりの基本計画」の基本理念として、10年後の文京区において実現すべき5つのみどりの将来像と、将来像の実現のために必要となる5つの10年間の取組方針が令和2年3月に示されました。あれから約4年が経過しましたが、10年後のあるべき姿に向けた樹木維持管理の高い技術と、樹木の特徴を踏まえた的確な手法が求められていることは以前からお話しております。毎年、何気なく剪定している樹木は景観の変化に乏しく、ありきたりな姿に留まります。10年後の樹形の目標を定めた剪定方法を取り入れた場合とは異なり、明らかに樹形の仕上がりに違いが出てきます。つまり、10年後の景観を考慮し、維持管理をしていく技術や理論を、所管の担当者や業者がしっかりと共通認識を持たなければ、今後も、計画的に美しいまちの景色を構築していくことは期待できないと考えます。
樹木は常緑樹、落葉樹、針葉樹などに分かれ、それぞれに特徴があり、最適な剪定の時期もまちまちです。また、事情があって強剪定した樹木の中には、耐えきれずに切り口から腐朽菌が入って枯れてしまうものや、街路樹によくある枝先がこぶ状になってしまう見栄えの悪い仕上がりになってしまうものもあります。なお、日当たりや風の強弱、気温や土壌中の水分量、土質や水はけ等によって、樹木の生長に大きな影響を与えます。樹木本来の特徴を見極めた維持管理と文京区の美しい景観を見据えて、計画的な作業を是非お願いしたいと思いますが、作業の具体的な取り組み方と進捗状況、今後の方向性について伺います。
私は現在も、樹木医や街路樹剪定士の視点で街の景観づくりを応援しています。文京区のみどりの基本計画の内容に関しては、新たな計画のあり方というところで、継続的に取り組んでいくべきみどり施策を明確にし、注力していきますと掲げています。個人として具体的に期待していることは、樹木の倒木回避や病虫害防除、電線や建物周りの支障枝剪定はもちろんですが、例えば、街路樹でしたら緑視率の増加を踏まえ、車道に対して平行に樹形を伸ばしていく方法で、真上から見ると樹冠が楕円形に見えるように剪定し、街並みに融合した景観を意識して維持管理を行っていくことを期待しています。また、公園の植栽や区有施設などの緑地帯における樹木でしたら、日当たりの確保や枯枝・幹の落下防止対策、風通しを考慮した死角を作らない剪定方法など、利用者にも安心・安全な癒しの空間をもたらす維持管理を期待しています。それぞれの植え込みによって目指す目的が違うことは明らかですが、残された6年間で、どのような方向性をもってみどりの維持管理を進めて行くお考えでしょうか、今後の展開とその具体的な目標について伺います。
なお、肥後細川庭園については、専門家から見ればいくつか気になる点が指摘されると考えます。この庭園を最初に手掛けた庭師が頭に描いた意匠とは、あきらかに違う景色になっている部分があると感じるからです。例えば、滝口周辺や十三重の塔周辺の景色の違和感、水琴窟周辺や周囲の芝生と垣根の違和感、一部の石組の手法の違和感、庭園全体における中低木植栽の仕上がりのアンバランス等です。いずれは、造園界で名のある庭師に見ていただき、指摘された部分における庭園の改修を加えて行くことが必要だと感じます。今後の方向性についてお尋ねします。
区長:次に、10年後のみどりの将来像への取り組み方針に関するご質問にお答えします。まず、樹木の維持管理の取り組みと方向性についてのお尋ねですが、街路樹や公園等の樹木については、樹木診断の結果や、地域の要望を踏まえながら、景観に配慮した剪定を行っております。今後、他自治体の事例や街路樹剪定士等の専門家の意見も参考にしながら、将来の景観を見据え、現場の状況にあわせた樹木の適切な維持管理に努めてまいります。
次に、肥後細川庭園の改修についてのお尋ねですが、肥後細川庭園は、「新江戸川公園からはじめる緑と歴史のまちづくり事業」の中で改修工事を行い、その際の基本設計を基に、高い景観性が保たれるよう、樹木の維持管理を行っております。今後の維持管理については、日本庭園専門の庭師に、現状に対するご意見を伺いながら、改修内容を研究してまいります。
次に「青少年の社会参加推進と地域の後継者育成」についてお聞きします。
青少年の社会参加と地域の後継者育成の関連性については、重要な課題として、これまでも述べてきました。地域の担い手を育てるために大人たちが協力し、年間を通して地域のイベントに参加してもらうことで、中高生や青年のボランティアが徐々に集まるようになり、仲間意識を持ちながら活動も盛んに行われていました。中でも後継者と期待される方が地域のイベントなどに参加することで、自分のことだけではなく、いろいろな人のために活動することを体験し、異年齢の方々とふれあいながら、地域の担い手となるように育っていく姿を目にしてきました。
私が所属している青少年健全育成会でも、以前から中高生や青年リーダーの育成が盛んに行われていました。その事業の際に、幼児や小学生を相手にしたコーナーを中学生リーダーたちが企画すると、決まって一番人気の場所となっていました。企画側としては、幼児や小学生たちの心をつかんだことで自信を持ち、それをきっかけに社会参加の活動が広がりました。そして、地元で行われる行事のお手伝いを呼び掛けると、企画側として積極的に参加してくれるようになった時期もありましたが、最近では、それも難しくなったと感じています。
文京区のまちを、地元の地域から活性化する意味でも、青少年委員会や青少年健全育成会、生徒会やb-labなどにご協力をいただき、中高生世代の社会参加につながる事業を後押ししてほしいと、これまでも要望してまいりました。区としても、いろいろと工夫されていると思いますが、実際に、こどもまつりに参加したボランティアやb-labに参加する中高生の皆さんの中から、地域の担い手が育っていると実感しているのか伺います。来年度から、地域の後継者を育成する事業の後押しとして補助金が出ると伺いました。我が町会でもこの補助金を有効に利用して、後継者の育成を進めていきたいと考えています。どのようにすれば、担い手の育成に係る補助金を有効に活用できるのか、その具体的な事業内容の例とその方向性について伺います。
区長:次に、地域の後継者育成に係る補助金についてのご質問にお答えします。本事業の補助金は、昨年度から、地域コミュニティの核となる町会・自治会を対象として、地域のイベントの再開に向け、既存の補助金に追加して行っているもので、子ども祭りや餅つき等、様々なイベントに活用されているところです。来年度については、町会・自治会を対象としたイベントの再開等に係る諸経費に対して5万円を、大学やPTAなど新たに様々な地域活動団体等と連携して事業を実施する場合の経費に対しては10万円を、それぞれ上限額として追加することで、町会・自治会の担い手不足の解消と地域コミュニティの活性化を図ってまいります。なお、本補助金は、複数の町会・自治会が、学区を単位として広く合同で実施するなどの場合にも、活用が可能となっております。また、区内には、町会・自治会以外にも多種多様な地域活動団体があり、社会福祉協議会が運営する地域連携ステーション「フミコム」と連携して、提案公募型協働事業「Bチャレ」の支援等を行うことで、地域コミュニティの活性化や地域活動を担う人材の育成を図っております。
教育長:最後に、青少年の社会参加の促進と地域の後継者育成についてのお尋ねですが、これまでも青少年の主体的な社会参加につながるよう、地域団体の活動を支援してまいりました。昨年11月に実施した「文の京こどもまつり」に、約70名の高校生が参加し、地域の大人たちと交流したことは、地域の担い手としての第一歩に繋がったものと考えております。また、青少年プラザb-labを利用する中高生が地域のイベントに今年度10回参画するなど、地域活動に興味を持つ中高生が増えており、中高生が地域の担い手として成長していることを実感しております。今後もこうした取組を継続して支援することにより、青少年の健全育成に努めてまいります。
次に「電動キックボードやEVバイクなどの交通安全対策」についてお聞きします。
最近、文京区内でもよく見かけるようになった電動キックボードやEVバイクも含めた電動自転車等で、交通規則を守らず、危険な運転をしている人を時々見かけます。利用する者にとっては手軽でたいへん便利な乗り物ですが、街中での信号無視や一時停止義務違反、蛇行運転や右側通行など、ルールを守らない運転手に、皆さんも身の危険を感じたことがあるのではないでしょうか。
一方、電動キックボードやEVバイクも含めた電動自転車等の装備については、車種によって必要とされる免許やナンバープレートの有無、さらにヘルメットの義務化の有無など、その区分けが一般の人にはわかりにくい状況にあると感じています。
警察も、いずれは自転車も含め違反車両の厳しい対応を考えているようですが、文京区として、電動キックボードやEVバイクのような新たなモビリティについて、このような状態を放置することなく、注意喚起をしていただきたいのですが、交通安全対策の現状と今後の方向性についてお聞かせください。
区長:最後に、電動キックボードや電動バイクなどの交通安全対策についてのご質問にお答えします。区では、電動キックボード等について、交通ルール遵守の徹底を交通安全運動の重点項目として、区ホームページなどで周知に努めるとともに、事業者や警察と協力し交通安全キャンペーンを実施してまいりました。また、電動バイクを含めた二輪車についても、交通事故防止を交通安全運動の重点項目として、ヘルメット等の着用などを呼びかけてきたところです。今後も、国や都、警察など関係機関とも連携しながら、交通安全対策に取り組んでまいります。
以上で、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。