保護司会

『社会を明るくする運動に参加して』

(2015年11月)

社会を明るくする運動

毎年七月に行われております『社会を明るくする運動』は、多くの青少年関連団体のご参加、ご支援、ご協力のもと、各団体との交流を深めるとともに一丸となって活動を行ってまいりました。その構成は大きく三つに分かれています。まずは全国レベルで行う東京都主催の『東京ドーム周辺広報啓発活動』、二つ目は文京区主催の『社会を明るくする大会』、そして三つ目は刑務所作業製品を展示・販売する『文京矯正展』です。今回で65回目となる広報啓発活動はあいにくの雨に見舞われましたが、小さなお子様から大人まで、協力団体の参加者は皆さん一生懸命に活動しておりました。また社会を明るくする大会では、文京区立の中学校にもご協力をいただき、生徒代表による講演も行われております。文京矯正展では更生保護女性会もご参加、ご協力をいただいております。

 『社会を明るくする運動』のそもそもの趣旨は、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を求め、それぞれの立場で力を合わせ、犯罪や非行の無い明るい社会を築くための全国的な運動です。その趣旨を踏まえての活動ですので、たいへん重要な意義を持っております。昨今、考えられないような事件が増えている中、住民の不安は尽きませんが、犯罪や非行の無い社会を誰もが望んでいることは事実です。自らも立ち上がって行動できる地域の方々が育っていけば、安全で安心な街づくりにつながっていくことでしょう。

『保護司会と町会との今後の連携について』

(2014年3月)

第2ブロック会議

皆さんは地元の保護司がどなたかご存知でしょうか。保護司就任当初はあまり公に自分の立場を明かさないという暗黙の了解があったと記憶しています。ところが最近では地域に出向いて積極的に広報活動をするよう東京保護観察所からの指導が入り、それがきっかけで小・中学校担当の保護司が選出され各校との連携が図られるようになりました。そして学校行事の参加はもちろん、会議などにも出席して地元の方々との顔合わせが行われるようになりました。また毎年七月に行われております『社会を明るくする運動』では、多くの団体のご参加、ご支援、ご協力のもと各団体との交流を深めるとともに一丸となって積極的に広報啓発活動を行ってまいりました。さらに中学校にもご協力をいただき生徒代表による講演も行われてきました。このように現在までいろいろな青少年関連団体との交流はありました。しかし町会との交流となるとこれまで話題に取り上げられたことはなかったようで、最近になって良い関係づくりを通して連携を図っていくといった方向性が打ち出されました。そこで何か交流のきっかけになる方法がないか私なりに考えてみました。

最近の文京区青少年問題協議会で、団体同士の相互理解と協力関係の確立について話し合う機会がありました。当時の私は主任児童委員の立場で参加していました。同席していた団体は、青少年対策地区委員会連絡会、保護司会、民生委員・児童委員協議会、小・中学校PTA連合会、青少年委員会で、六団体の代表者二名と行政関係者四名により一年間で八回の部会が開催されました。その結果、団体同士の相互理解と効果的な協力関係の確立、団体や立場を超えた議論の場の必要性が重要であるという結論に達しました。団体同士の連携体制を構築し、多面的な事業展開を図るためにもお互いの活動を理解した上で、課題の解決や事業の展開に向けて団体や立場を超えた議論もこれからは必要になるという見解でした。

ところで他区において実際に保護司会と民生委員・児童委員協議会との情報交換会を行っているところがあります。仮釈放されて地域に帰ってきた対象者の幼少期について、児童委員が知り得た情報を保護司に提供し、生い立ちや生育環境を理解した上で今後の保護観察の対応に生かしているという例もあります。もちろんそこには守秘義務が課せられています。同じようなことを保護司会の本富士班でも行いました。お互いの団体から十名程参加して情報交換を行いました。最初は企画に無理があるのではという意見もありました。しかし始まってみると活発な意見や質問が出て、とても有意義な会となりました。まだまだ話は尽きない中、あっという間に時間が過ぎていきました。このように実のある会合になるかどうかは団体同士の思惑に左右されます。課題の解決や今後の事業の方向性が打ち出せたとすれば交流は成果があったと判断できます。そのために不可欠な存在として、団体交流の良し悪しを見据える目を持ったコーディネーターの存在が必要となります。保護司会でも『青少年関連団体交流会』を毎年十一月に行っていますが、各団体にとって有意義な交流の場となる企画ができるか、また課題を提供することができるかという事が、今後に向けてますます重要な目標になってくるでしょう。

さて、これを町会に置き換えて考えてみましょう。今保護司のなり手が不足し、町会に推薦していただこうという動きが出ています。ただこれには問題があるような気がします。保護司の中には地元で町会長をされている方もおりますがごく一部に過ぎません。先程お互いの団体の活動内容の理解が必要とありました。それが果たして出来ているのでしょうか。保護司で町会のお手伝いをしている方は大勢いるかと思います。しかし町会の企画・運営を行っている方は実際には少ないと思います。本来ならば町会としてはこのようなリーダー的存在を求めているはずです。当日参加のお手伝いも必要ですが、保護司会の立場として町会に候補者の推薦をお願いするからには、町会活動を理解した上でのお付き合いが求められ、それ相応の協力をさせていただく覚悟を持つことでお互い良い関係に収まるのだと思います。日頃どれだけ町会に貢献しているかが重要なポイントになるでしょう。それなくして一方的に協力だけをお願いしても、本気で受け入れてもらうことはまず難しいと思います。

保護司の皆さんは様々な立場で町会に参加している事でしょうが、関わり方は人それぞれだと思います。そこで両団体の連携という事を踏まえて町会とのお付き合いを新たに始めるならば、その関係から保護司の候補者推薦のご協力をいただくことは自然の流れだと思います。私も実際に現役の町会長をしております。その立場になりますと、役員さんや会員の皆さんのお手伝いの雰囲気を敏感に感じ取ることができます。町会行事においても、やるからにはとことん付き合いますという方もいらっしゃれば、やる気はあるのですがここまでと線引きしている方もいます。忙しいのに煩わしい、面倒くさいと思っている方もおります。それでも参加していただけるだけありがたいと思います。もちろん無関心な方もいらっしゃいます。町会を運営する立場としては多くの町会員にご協力をお願いしたいと思っていますが、残念ながら企画・運営に携わる人が多くは集まらないのが現状です。そのような状況の中で、まずはお願いする前に対等な立場で町会活動の内容を理解して協力し、実績を積んで信頼関係を構築し、町会からの協力を仰ぐといった段階を踏むことが大切だと思います。町会側の立場からしますと、現況では保護司の方と協力体制を敷く必要性があるとは正直なところあまり思っていません。どちらかというと保護司会側から歩み寄る形をとった方がより効果的な気がします。町会活動に積極的に参加することで、今後の関係により良い変化が現われてくることでしょう。

それではどのように町会と接すれば効果的な結果が得られるのでしょうか。接点としては保護観察の対象者が町会員として地元に住んでいるという事です。また地域の防犯という観点からも安心・安全な街づくりについての協力はできるはずです。まずはこの辺りを軸にコミュニケーションを図って相互理解を深めていくことが肝要ではないでしょうか。ただ対象者の情報をうっかり提供してしまうとすぐに広まってしまう恐れがあり、守秘義務の観点からも無理があります。情報交換という意味では内容的に心配が付きません。しかし町会が求めているものを察し方向性を見出すことが出来れば、日頃の町会との関係も自然と相互理解が深まり、共通認識のもとに協力体制が出来てくることでしょう。また防災関係の協力も重要なカギとなりそうです。避難所運営協議会に別の立場で参加協力している保護司の方もいると思いますが、直接かかわりのない方もいることでしょう。実際に民生委員・児童委員協議会では災害時を想定してたいへん活発な活動をしています。保護司会としてあるいは保護司として地元町会に何ができるかをもう一度皆さんで考え話し合ってみるのも良いのではないでしょうか。そこで出た結論や方向性をこれからの活動に生かしていきたいものです。まだまだ難しい課題は残っていますが、他団体との交流を深め人脈を広げていくことが、いろいろな意味で保護司会の発展や広報活動につながっていくことでしょう。その結果として保護司の候補者の紹介や、地域とのより良い関係が生まれてくるのではないでしょうか。地域の安全に目を向けていくことも信頼関係を築く重要な接点となることは間違いありません。このように自ら行動をすることによって新しい時代の変化に対応した活動が出来るものと信じています。町会との連携が自然な形で行われるまでにはいろいろな課題が待ち構えていることでしょう。それらを一つ一つ地道に解決していきながらより良い信頼関係を築いていくことで、町会との協力関係が出来る時代が必ずやって来ると信じています。これからも他団体との有意義な交流が行われ、ますます地域の絆が深まっていくことを期待しております。皆さんで力を合わせて頑張って活動していきたいものです。

本富士班会